<日本ハム0-5オリックス>◇23日◇札幌ドーム

 ビッグ・ベースボールをはまらせてしまえば、力の原理で、結末は明らかだった。日本ハムのスモール・ベースボールは、たった1人の大きなパワーの前に、無力だった。梨田監督は、無抵抗での今季3度目の完封負けの要因になった「愛弟子」を持ち上げた。「いい打者なんで警戒すべきところ。ホームランは完ぺきだったな」。序盤の大量4失点のうち、3点をたたき出したローズ。かつて率いた“いてまえ打線”の中核に、してやられた。

 前夜5打数無安打に抑えて迎えた、この日だった。実は、その試合前にアメを数個、プレゼントしたという。「打つなよ」と忠告したが、ローズには「仕事なんだ」と返された。そんなアメは一夜明けて、ムチになって返ってきた。初回に先制二塁打を浴び、3回には反撃意欲を喪失させるような特大2ランを浴びた。

 2度の好機の2、5回はともに併殺と流れを失った。特に5回1死一、二塁は、陽の鋭い当たりが二塁手・後藤の正面をつき、一瞬でついえた。故障復帰したばかりの金子誠を、7回の攻撃終了後に大事をとって途中交代。山本に、プロ初の完封勝利を献上した。内野ゴロ19。早打ちでテンポ良く、最終9回まで到達させてしまった。稲葉は「見逃せばストライク、振りにいけばボール。見極めが難しかった。投手が良かったよね」と褒め、無駄な言い訳はしなかった。

 コマがそろった先発を含む強力投手陣頼みで、しのいで、しのいで小差で振り切るのが勝ちパターン。またスタイルがはっきり分かったことは、収穫にしたい。【高山通史】