<広島4-7阪神>◇21日◇広島

 初めてマウンドに足を踏み入れたときには、すでに2点が入っていた。援護してくれた打線への恩義がある。阪神下柳は崩れるわけにいかなかった。初回。先頭赤松に四球を与え、東出の送りバントを自ら一塁に悪送球した。無死一、二塁のピンチ。中軸を迎えたが、冷静になった。2死までこぎつけ、嶋と対決。ファウルで粘られたが、外角スライダーで空を切らせた。

 好調ではなかった。3回に1点を失うと、5回には2点を奪われた。この日は5回3失点で降板。救援陣のリレーに頼った。久保チーフ投手コーチも「不思議な感じ。今日はあまり良くなかったんだけど…」と笑う。それでも勝ち運に恵まれて、4年連続2ケタ勝利を達成。しかも、40歳代での年間10勝以上は史上5人目の快挙だった。百戦錬磨のベテラン左腕も「ありがたいことだな。みんなの協力のおかげだよ」と周囲への感謝を口にした。

 登板間隔が空くと、ブルペンでの投球とダッシュを交互に繰り返す「インターバルピッチ」を取り入れる。指先の感覚を大切にするため、打たれれば必ずボールの交換を球審に要求する。工夫を積み重ね、7月26日の中日戦で白星を挙げて以来、3度目の挑戦で大台に達した。