巨人原辰徳監督(50)が13日、右肩関節を挫傷してリハビリ中の阿部慎之助捕手(29)について、クライマックスシリーズ(CS)第2ステージと、勝ち抜いた場合の日本シリーズでのベンチ入りを示唆した。阿部の試合出場は依然として難しい状態だが、原監督は「キャプテンとしてベンチにいることが戦力」と考えている。

 CSに向けて口を開いた原監督は、負傷リタイアを余儀なくされた阿部を気遣いながら言った。「彼は貴重な戦力です。どんな形であれ、ベンチには入るでしょう。キャプテンだし大きな役割を負っている」。優勝を決めた10日のヤクルト戦に代表されるように、阿部の存在感は絶大だ。チームとして、シーズンと同じように戦う姿勢を貫くためにも、阿部には一緒に戦ってもらいたい気持ちがあった。

 阿部の肩の状態は先が見えない。間に合ったとしても、怖さがある。「投げるのもそうだけど、打つのもやばい。振り切った時に左手を離すと、右肩が飛んでいっちゃうんじゃないかと思うぐらい。確か村田善さんも、(かつて)それで脱臼してたよね」と阿部は言う。まだ痛みも引かず、復帰への道筋は立てられないが、指揮官の期待にこたえるためにも、下半身や左腕といった動かせる部分のトレーニングは欠かさない。

 選手としては間に合わない可能性が高い。原監督は「プレーできなくてもベンチに入れるのか?

 それについては時期尚早でしょう。登録のルールもありますから」と慎重に言葉を選んだ。選手、コーチ以外でのベンチ入りには、スコアラーや広報、通訳として登録するしかない。セ・リーグ大越事務局長によると「選手がスコアラーを兼ねていけない決まりはない。ただ、そんな話は聞いたことがない」という。

 ともかく、一番は阿部が最低限でもプレーできる状況でベンチに座ることだ。「監督からそう言っていただけるのはありがたい。ベンチに入ってもいい状態にしないといけない。いいプレッシャーにしてやっていきたい」と、原監督の考えを励みに、リハビリに精を出す。打つことも、投げることもできないかもしれないが「声を出すしかないでしょう」と、日本一のためには裏方に徹する覚悟もある。今季、節目の試合で「勝つぞ」と一言発するだけで、ナインは乗せられてきた。キャプテンの力が、ただ単に打って守るだけではないことは、原監督が熟知している。【竹内智信】