巨人小笠原道大内野手(35)が10日、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の世界一連覇で未曾有の経済危機を吹き飛ばすと快気炎を上げた。06年のWBC優勝では経済効果が360億円とも試算された。連覇達成のため、スロー調整を返上し、WBCの開催される3月にピークをつくることを宣言した。ヤナセ・ジャイアンツMVP賞を受賞し、車両価格650万円のベンツを贈呈され、不況の自動車業界の復活に向けても一役買うことを誓った。

 シルバーに輝くベンツをプレゼントされた小笠原は、喜びながらも神妙な面持ちになった。「この不景気の中、高級車を1台いただけて感謝しています。来年は不景気を少しでも吹き飛ばせるように、目いっぱいフルスイングしたい」。米国3大メーカーが公的資金の導入を願い出、ホンダはF1から撤退。日産やトヨタの工場社員のリストラなどもニュースになる中、喜んでばかりもいられなかった。自分の一振りがなんとか景気回復につながれば、そんな思いがあふれた。

 そのためにもWBCの連覇は外せない。前回の優勝時には街中のスポーツ新聞が完売するほどの熱狂を生み、一説には国内経済への波及効果が360億円を超えたという話もあった。正式に代表に選出されてからという前提はあるが「3月の頭にマックスの状態に持って行けるようにしたい。そこから逆算して、しっかりトレーニングしたい」と、最高の状態でWBCの東京ラウンドに挑めるようにしたい気持ちが強まった。開幕に合わせる例年より1カ月早く、左ひざ手術を経験した今季よりは2カ月以上早い調整になる。

 この日もらった車で「家族と温泉に行きたい」と、もうしばらくは休息を求める。動いていない分、シーズン中より体重も1、2キロ増えた。この状態を維持しながら12月のV旅行でのハワイで体を動かし始め、1月に本格的に始動する。ヤナセの西山俊太郎社長から「来年もMVPになったら、もっといい車をあげたい」とニンジンもぶらさげられた。「来年だけと言わず、毎年この賞をもらえるよう頑張りたい」。WBCもペナントレースも、そして来年のこの賞も…。狙えるものはすべて取りにいく。【竹内智信】