<オープン戦:広島1-0巨人>◇11日◇福山

 助っ人が開幕最右翼!

 広島コルビー・ルイス投手(29)が11日、オープン戦巨人戦(福山)に先発し、3回無失点に抑えた。今季の開幕カードで激突する昨季のリーグ覇者を相手に堂々たる投球を披露。先発陣のなかでも安定感は突出しており、4月3日の開幕投手の最有力候補に躍り出た。来日1年目だった08年に15勝をマークした右腕が、上位浮上の原動力になる。

 格が違う。球威が違う。福山市民球場のマウンドは初回からルイスの独壇場だった。左打者が並んだ上位打線。三塁側スタンドに陣取ったファンは、せわしなく身をかわす。重い速球に振り遅れたファウルが幾度となく飛んでくるのだ…。2回には李を外角速球で三邪飛に仕留めるなど、パワーで巨人打線を圧倒した。

 ルイス

 今日も速球の制球力とアウトを取ることがテーマだった。いい感じで、力強く投げられたよ。肩の耐久力もあったからね。

 圧巻の32球だった。この日も速球主体で臨んだ。宝刀のチェンジアップを投じたのは1度だけ。真っすぐを待つ打者を、最速149キロの真っすぐでねじふせる豪快なスタイルを貫いた。3回を投げて1安打無失点に抑えた。今季初登板だった4日紅白戦から7イニング連続無失点。この状態から、さらに緩急の差をつければ…。「無敵」の2文字すらチラつく仕上がりだ。

 調整の過程とはいえ、昨季奪三振王の快投は頼もしい限りだ。この日対決した巨人とは、4月3日から東京ドームで開幕3連戦を戦う。3月中旬に入り、開幕投手争いもヒートアップしてきた。10日の同カード(周南)では、同じく有力候補の大竹が2回3失点だった。おのずとルイスの力投がクローズアップされる。それでも、ブラウン監督はかわすように言った。

 ブラウン監督

 去年の実績はうちの投手陣でNO・1だ。有力候補だけど、あくまで候補の1人。私のなかでは開幕投手は頭に入っている。でも、セ・リーグのルールにのっとって公表しないよ。1つヒントをあげよう。巨人には左打者が多くいるだろ。うちにもいい左投手が2人いるからね。

 サウスポーの斉藤と篠田を例に挙げたが、明言こそ避けた。それでも、ルイスの名前もまた、色濃く刻まれているのは間違いない。かねてから開幕投手を歓迎する背番号11は言う。「これからもイニングを伸ばしていく。約3週間、マウンドに立ってから開幕を迎えたい」。視界にとらえているのは『4・3』か、それとも…。昨季、大車輪の活躍を見せた助っ人右腕が、開幕投手の筆頭候補に浮上した。【酒井俊作】

 [2009年3月12日10時59分

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