<中日2-1ロッテ>◇5日◇ナゴヤドーム

 中日先発吉見一起投手(24)がロッテ打線を7回1失点に抑え、チームトップタイとなる5勝目を挙げた。これで交流戦は3戦2勝、防御率0・83。中継ぎとして12試合に登板し、3勝負けなしだった昨年に続き、交流戦での無敗記録を15試合に伸ばした。

 「状態は良くはなかったけど、低めを意識して自分らしさを出そうと思って投げた。きょうはピンチでも粘れたし、最低限の仕事はできたと思う」

 4回以外は毎回安打を許し、走者を背負ったが、動じることはなかった。「欲を出して、ストライクやアウトを欲しがらないように心がけた」。6回には「失投」だという甘い球で井口に適時打を浴び、先制点を与えたが、粘り強さで追加点を許さなかった。

 納得の投球をするために、オープン戦から続けてきたことがある。登板した試合のフォームを、スコアラーが撮影した映像で後日チェック。「自分の感覚と(実際のフォームが)違う時があるんで」。客観的に自分を見つめ、理想のフォームを維持し続けていることが、今季の防御率1・41という数字にもつながっている。

 5月25日の朝倉以来、7試合ぶりとなる先発投手の白星に、指揮官も「ピッチャーだけじゃなくて、最後の一線を踏み越えさせなかったということじゃないかな。守れれば勝てる。ちょっと今までの1点勝負とは意味合いが違うんじゃないか」と、守り勝つ野球が実践できたことを評価した。

 これでチームは4月16日以来、50日ぶりに貯金を手にした。そしてこれからが貯金ロード。「1つでも多く増やせるように頑張ります」。お立ち台でスタンドのファンに向けて発した吉見の言葉が、何とも力強かった。【福岡吉央】

 [2009年6月6日11時58分

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