<横浜0-1オリックス>◇16日◇横浜

 窮地のオリックスに天運が味方した。1-0で迎えた6回表の攻撃中、雨が激しくなり中断。そのままコールド勝ちが成立した。山本省吾投手(31)は5回2安打63球のおいしい完封で4勝目。自力V消滅の可能性もあった試合で3連敗も阻止し「ラッキーです」と言葉が弾んだ。

 運だけではない。実は初回からコールドを想定した頭脳的投球だった。降雨で開始を19分遅らせたが、その後の予報は悪化の一途。「天気も天気だし早く振ってくると思った」。相手の打ち気を逆手に取り、低め低めへの制球でアウトは内野ゴロと三振で築いた。横浜を完全に術中にはめた。

 稲光もとどろく雷雨の中、笑顔が並ぶハイタッチの列。だが試合前にはもう1つのカミナリも落ちていた。「弱いねえ…」。宮内義彦オーナー(73=本社会長)が、防御率5点台と12球団ワーストに沈む投手陣にカツを入れていた。

 大石監督の責任問題については「まだ始まったばかりですから」と一笑に付したが、投手陣の現状、やりくりには厳しい口調になった。「素人目に見ても、もうちょっとうまい使いようがあると思う」。矛先は佐々木チーフ以下3投手コーチに波及。コーチ人事見直しの可能性も否定しないほど、不快指数全開だった。

 総帥が東京から落としたカミナリは横浜のマウンドにも届いたのか。山本の完封はだれにも文句を言わせない完璧な内容だった。この日をきっかけに反攻へ。「そう願いたい」。大石監督の言葉にいつも以上の力がこもった。

 [2009年6月17日11時29分

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