<中日4-1阪神>◇1日◇ナゴヤドーム

 落合中日が05年7月26日以来、4年ぶりの8連勝だ。トニ・ブランコ外野手(28)が特大22号3ランで阪神を粉砕した。ブランコは1シーズンで11球団すべてから本塁打をマークした。浅尾-岩瀬の「AI(愛)の方程式」も完ぺきに決まった。巨人が敗れて、5・5ゲーム差。いよいよ、首位の背中が見えてきた。

 来た球を打つ。ブランコの本能が好投を続ける福原を粉砕した。0-0で迎えた6回無死一、二塁。シュートで内角をえぐられ、追い込まれた。ただ、体も心も微動だにしていなかった。「内角?気にならなかった。僕はとにかくボールを見ることだけを考えている。(配球を)考えすぎるとよくないから、来た球を打つことに集中した」。2-2から外角を狙ったスライダーが真ん中にきたのを見逃さなかった。打球はバックスクリーン左上のプライム席のガラスを直撃する135メートル弾。リーグ独走の22号3ランで勝負を決めた。

 ここまでセ、パ合わせて10球団から驚弾を放ってきたブランコが残る阪神から1発を放って1シーズン11球団本塁打を達成した。「コーチ、スタッフ、みんなに感謝したい」。来日1年目の外国人選手としては07年ガイエル以来2人目。しかも67試合目での達成はパワーだけではなく、日本野球に順応する能力があることを証明している。

 本拠地での試合後、落合監督がナゴヤドームを去ろうとすると室内打撃練習場から打球音が聞こえてくるという。のぞくとそこには他の選手にまじってブランコがいる。また来日当初はワイルドなドレッド・ヘアだった髪形も指揮官に「これから暑いんじゃないか?」と言われて以来、丸刈りにした。まるで「高校球児」のように素直で実直なドミニカンは、驚異のスピードで日本野球に順応した。

 落合監督も胸を張った。「こういう試合は何回となく経験している。この展開になれば負けない」。福原の前に5回までわずか2安打だったが、守備から入り、ワンチャンスを生かすのがオレ竜の必勝パターン。6回に俊足荒木が出塁すると盗塁で揺さぶって一気に決めた。狙い通りだった。

 「少なくとも20連勝はしたいね。難しいことだけどみんなの気持ちが1つになればできるよ!」。試合後のお立ち台、ブランコは高らかに宣言した。巨人とは5・5ゲーム差。最大9ゲームまで離れたライバルの背中が見えてきた。【鈴木忠平】

 [2009年7月2日9時19分

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