<西武4-1オリックス>◇20日◇西武ドーム

 西武の岸孝之投手(24)がルーキーイヤーから3年連続2ケタ勝利をマークした。先発し、5回を6安打1失点に抑えて10勝目を挙げた。リーグの勝率トップをキープし、チームのオールスター戦(24、25日)前勝ち越しターンを決めた。

 節目の1勝も、心からは喜べなかった。西武岸はお立ち台で、居心地悪そうに頭をかいた。「5回しか投げてないのに、お立ち台って気まずいですね」と苦笑い。5回1失点でも、6安打4四死球。ピンチの連続をなんとかしのいで、入団から3年連続2ケタ白星となる10勝目を手にした。

 降板後は、小走りでブルペンに向かった。「5回しか投げられませんでした、すいません。あとはお願いします」。完投できなかった時は、救援陣に一礼してベンチに戻る。入団時から欠かさず続けてきた“儀式”が、後を託された投手を奮起させる。無失点リレーでこたえた大沼、岩崎、小野寺に、岸は試合が終わってもう1度、頭を下げた。

 相性抜群のオリックス戦はこれで8連勝。貯金3のチームは、球宴前の勝ち越しターンを決めた。渡辺監督は「昨年と違って、今年は悪いなりにも試合を壊さない力がついている」とたたえた。直球のほとんどが140キロに満たず、5回で105球まで増えた球数が苦しさを物語った。決して本調子でなくても粘れる強さは、日本シリーズなどで修羅場をくぐった3年目の成長の跡だった。

 勝ち運も味方につける。「5回で代えるつもりだったから、いいタイミングで点が入って勝ちがついた」と渡辺監督。10勝1敗で勝率はリーグトップ。「野手や中継ぎのみんながいつも助けてくれるので」という律義な心を忘れない岸に、勝利の女神がほほえんでいる。【柴田猛夫】

 [2009年7月21日8時47分

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