楽天田中将大投手(20)が、3日に行われる西武戦(Kスタ宮城)のスライド登板を回避することになった。先発予定だった2日のソフトバンク戦は降雨中止となったが、3月のWBCから投げ続けてきた疲労を考慮して次回登板は5日のオリックス戦(京セラドーム)に決まった。チームのクライマックスシリーズ(CS)進出マジックは2で、西武戦に勝てば7戦を残して球団初のCS進出が決定する。日本一へつながるCSでの登板に万全を期す積極的な休養策を選択した。

 頂点を狙うからこその休養だ。3日の西武戦は勝てば球団初のCS進出が決まる大事な試合ではある。それでも3位以上をほぼ手中に収めている状況が、田中に休養を与える機会を生んだ。チームで一番遅く球場を出た田中は「中止で残念?

 そりゃ、投げたかったですよ」と残念がった。それでも中6日での先発が中9日に変更されたことにほおが緩んだ。「(登板間隔が)空いて悪いことはありません」。疲労から来る不調に悩まされていただけに、素直にスライド登板回避を受け入れた。

 タイトルよりも日本一だ。今季はあと2回の先発予定だったが、3日からの西武2連戦を回避したことで登板機会は5日で最後。余裕のあるスケジュールで、CSへと臨むことができる。「(先発は)シーズン最後じゃないですよ。CSがありますから」と、すでに視線は先の目標へと向かっている。最多勝争いでも、1勝差で食らいついていたが「2カ月勝ってない時がありましたから」とあっさり流した。個人タイトルよりチームの勝利。首脳陣も非常事態が発生しない限り、緊急登板などはさせない方針だ。

 つかの間の休息を与えられた若き柱は、チームを信じて悲願達成を待つ。「(今日先発の)青山さんが決めてくれますよ」と、勝利の願った。野村克也監督(74)も「マー君、雨男なんか。今日は恵みの雨かな」とニンマリ。連戦中の中止は田中だけでなくリリーフ陣や野手陣にとっても、貴重な休養となった。体調を整えた選手は3日、第1目標のCS進出決定を狙う。田中の力が再び求められるのは、スクランブル登板もあるCS本番だ。傷つきながらも投げ続けてきた男はしばし羽を休め、再び正念場で大きな仕事をやってのける。【小松正明】

 [2009年10月3日8時28分

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