大リーグ・マリナーズ城島健司捕手(33)が20日、電撃退団し、来季からの日本球界復帰を表明した。ソフトバンクはこの日、福岡市内の球団事務所で編成会議を行い、近日中に争奪戦に参戦するかの決断を下すことを明言した。チーム編成、金銭などの条件面の考慮も必要となるが、ホークスへの愛着が強い城島の思いも検討。阪神が早くも獲得に名乗りを上げる中、5年ぶりにソフトバンク復帰が実現するか注目される。

 城島マリナーズ退団の一報を受けたソフトバンク笠井和彦オーナー代行(72)が近日中に、獲得に乗り出すか、撤退するかの結論を出すことを明言した。この日、福岡財界にあいさつ回りを行った笠井オーナー代行は、夕方に球団事務所を訪れ「まだ現場と話をしていない」と前置きした上で「どういう状態で(マリナーズとの契約を)キャンセルしたか(フロントが)調べてくれると思う。早急に議論しないといけないこと」と、話した。

 くしくも、この日球団内で今後のチーム編成を議題とした会議が予定されていた。午後8時ごろに事務所を離れた際、笠井オーナー代行は「(城島の)話は出たが、詳しい話はしていない」と、現段階で結論が出ていないことを強調した。

 退団即参戦表明といかなかったのは理由がある。今季、正捕手に成長した田上がチームトップの26本塁打を放った。城島を獲得するには正捕手確約が必至で、田上がDHに回るとなれば、今月末に左ひじと右ひざ手術を予定している松中がレフトを守らざるをえない。城島は33歳、田上は29歳。チームの将来像を見据えれば、城島獲得を熟考する必要がある。

 竹内孝規COO(球団最高執行責任者、49)は「すべてはこれから」とコメント。角田雅司球団代表(57)も「(来季)編成についてはこれから話すことになる。個別の案件についてはコメントできない。いい選手であるのは分かっている」と語るにとどまった。慎重な言葉選びに終始したのも、編成上の事情があるため。まして、年俸面でもメジャー挑戦前の05年に5億円でプレーしていただけに、3年総額15億円以上の大型契約が必要と見られ、即決しにくい案件ではある。

 ただ、城島自身、メジャー挑戦時に「ユニホームを脱ぐのであれば、福岡でと思っている」と話すなどホークスへの愛着は人一倍だ。夫人も福岡県内出身だけに、家族思いの城島にとってはソフトバンクは最高条件と言える。何よりソフトバンクには、城島の尊敬する王貞治会長(69)の存在もある。城島は王会長の監督最終戦となった昨季最終戦(08年10月7日の楽天戦)でもKスタ宮城に訪れる間柄だけに、興味を示す阪神など他球団にとってソフトバンクは最大の脅威と言っていい。

 城島がメジャー挑戦して以降、ホークスの背番号「2」は欠番扱いだった。そのユニホームに再び袖を通す可能性は残されている。

 [2009年10月21日11時16分

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