阪神に新加入した城島健司捕手(33)が「仰天初打ち」を敢行した。沖縄・宜野座キャンプ3日目の3日、屋内練習場で初のマシン打撃。カーブマシン相手にまず左打ちで豪快スイング。本来の右打席では空振り、はたまた右への直角ファウル打ち…。豪快な打撃が持ち味だが、繊細な自己流調整でフォーム固めのステップを踏んだ。6日からの第2クールでは屋外打撃を同じやり方で予定。キャッチボールでは自慢の強肩を披露するなど、ジョーのエンジンがかかり出した。

 あまりにも意外な光景だった。今キャンプ初めてのマシン打撃のラスト。城島が右打席でバットを構えた。ゆっくりとしたカーブにバットを合わせるはずが、まさかの空振り。7球連続でバットが空を切った。

 8球目にはぎりぎりでバットを当てたファウル。ほぼ直角に右方向にボールが飛んでいた。まるで試合で一塁側ベンチに打ち込むような打球の角度。しかも4球連続で同じ打撃。その後も空振りとファウルを交互に9球連続で繰り返した。完全に狙って打っていた。

 城島

 全力で空振りしていたよ。へその前でボールをとらえるため。(打撃で)バントが一番難しい。目の近くでしないといけないから。バントをするポイントまで引きつけて、バットを回しながらパチンと打てるのがティー打撃の次の段階。バントするところまで引きつけたら、たたく。これが毎年の動きなので。

 持ち前の豪打とはかけ離れた調整だ。打撃前にはバントを54回。ポイントを確認し、右への直角ファウルを狙った。まるで出塁率を重視して際どい球をカットする1番打者のような繊細なバットコントロールだ。

 打者はミートポイントが体に近いほど、ボールを見極められる。ただ、並外れたスイングスピードがなければ実行できない。直角ファウル打ちの先に、力と技術が融合したスラッガーの姿がある。和田打撃コーチは「(城島は)プルヒッターじゃない。反対方向に臨機応変に打てる。いい打者は引きつけて反対方向に打つことから入る」と話した。

 規格外の一面は「左打ち」にも表れた。マシン打撃の最初は左打席で25スイング。違和感ない動きで快音を連発した。「自慢じゃないけど、左は得意。体が素直にというか、内角はライト、外角はレフトと勝手に体が動く。右よりも力がない分、早く始動しないと打てない」。左右でバットを振れば全身の筋力の偏りも少なくなる。シーズン中の試合前にも左打席で多く振るのが城島スタイルだ。

 城島は6日からの第2Cで屋外フリー打撃を予定。しかし調整法はこの日と同じだ。「打撃ケージで(右横にファウルが)ガシャンガシャンいくと思う。それでいいんです。引っ張るとお客さんも喜ぶけど、それでメシを食えるかといえば、そうじゃない」。仰天初打ちをした城島は今後もスタイルを貫く。

 [2010年2月4日11時42分

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