鉄腕が完全復活だ。中継ぎから先発に転向する巨人山口鉄也投手(26)が、原点回帰をテーマに心と体を先発モードに切り替える。4日、前日に続きブルペン入り。コンビを組んだ阿部のミットに、ビシビシと剛球が突き刺さった。「昨日より良かったです。気持ち良く投げられました」とスッキリした表情で振り返った。

 キャンプインから心はどん底だった。初日は捕手を座らせ72球投げたが「ボールが思うようにいかない。先発を意識しすぎて、力んでいるのかな」と打ち明けた。3日のブルペンでは逆球を連発。「8割で投げようとすれば、腕が振れなくなるし…。投げ方がわからなくなった」。昨季、中継ぎで球団記録を塗り替える73試合に登板した面影はなくなっていた。

 不安を吹き飛ばしてくれたのは、周囲からの言葉だった。斎藤、香田両投手コーチから「難しく考えるな」とアドバイス。阿部には投球後「今まで通り投げてみろ。お前には力があるんだから」と肩を押された。結論は原点の全力投球だった。「僕の持ち味は全力で投げるところ。これまで通りに、腕を振ることに集中したい」と吹っ切れた。

 キーマンの復活に、香田投手コーチは「良くなっていたね。修正点?

 気持ちの問題だから。まったく心配していません」と信頼を寄せた。第2クール2日目の7日からフリー打撃での登板が解禁される予定。「いろいろ試しながら、やっていきます」。坂本、亀井ら打者を相手に、先発山口がベールを脱ぐ。【久保賢吾】

 [2010年2月5日9時7分

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