西武のドラフト1位ルーキー菊池雄星投手(18=花巻東)が11日、学年末試験を終えて宮崎・南郷キャンプに再合流した。強風の影響で宮崎空港に到着できない可能性もあったが、40分遅れで何とか到着した。8日の帰郷の際も花巻行きの便が欠航になり、ドタバタ往復となった。また宿舎で同部屋のドラフト5位松下建太投手(22=早大)がものもらいにかかり、注意が呼びかけられるなど慌ただしい1日となったが、さっそく自主練習を再開した。

 第3クール初日は雨と強風に見舞われる悪天となり、ゴーッという風の音が響いた室内練習場で1日を過ごした渡辺監督は「雄星の飛行機は大丈夫かな」と、しきりに心配した。宮崎地方気象台によると、この日は宮崎で今年最大の風速16メートルを観測。「風に向かって人が歩くのが困難、木の小枝が折れる」(風速15~20メートル)状態だった。

 2日間の学年末試験を終えた雄星は新花巻から新幹線などで仙台空港へ向かい、伊丹空港で飛行機を乗り継ぎ、宮崎空港に到着する行程だった。ところが、強風の影響で宮崎行きが遅延。伊丹空港関係者によると、搭乗前に「悪天候のため、離陸後に伊丹に引き返すか、鹿児島に着陸するかもしれません」とアナウンスされたという。上空の機内で多少の揺れはあったものの、定刻から40分遅れで宮崎に到着。最悪、到着できない可能性もあっただけに、無事を確認した渡辺監督は「よかった、よかった」と胸をなで下ろした。

 約9時間の移動を終えて南郷キャンプに戻った雄星も「移動は大変ッス」と苦笑いした。実は3日前、岩手に一時帰省する飛行機でもトラブルに遭遇。宮崎空港から伊丹を経由して、いわて花巻空港を目指すはずだった。ところが伊丹空港で飛行機の座席に座った後、機内で故障が発生。大急ぎで、同時間帯に出発する仙台空港行きに乗り換えた。移動の大変さをこれでもかと味わった往復2400キロだった。

 長旅でお疲れでも、そこは怪物。午後5時に宿舎ホテルに到着すると、すぐにスーツからユニホームに着替えて体を動かした。「『休むか?』と言われたけど動いておきたくて。新幹線から座りっぱなしで足に力が入りませんでした」と笑った。すでに全体練習は終了。一仕事を終えた橋本投手コーチと田原ブルペン捕手に再び同行してもらい、誰もいない室内ブルペンで106球の立ち投げを敢行。キャンプの遅れを少しでも取り戻すかのように、黙々と投げ続けた。12日からの再合流に向け、準備は整った。【柴田猛夫】

 [2010年2月12日8時30分

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