グレート・ティーチャー・ジョーと呼んでくれ!

 阪神城島健司捕手(33)が13日、新助っ人投手2人の指南役を買って出た。ブルペンでケーシー・フォッサム(32=カブス)の投球を初捕球。最遅69キロというフォッサム・フリップ(カーブ)に太鼓判を押し、メジャー通算40勝の実力を評価した。城島は日本で成功する条件を「キレないこと」と断言。米国野球との違いを踏まえて、メッセンジャーと合わせて2人が実力を発揮できるように先生役を請け負った。

 ブルペンに「ケーシー、パーフェクト!」の声が響いた。城島が、フォッサムと初めてコンビを組んだ。右打者の内角に直球とスライダーがびしびし決まる。遅球フォッサム・フリップもふわりと浮いてゾーンに収まる。城島は新助っ人を名前で呼び、3球を「パーフェクト」と表現した。

 城島

 内角にくるボールがよかった。同じ左でも能見、岩田とは違うタイプ。(遅球は)使えるという印象。あんな(持ち球の)外国人はあまりいない。あると見せるだけでも違う。(米国では)レイズのエースでやっていたからね。

 フォッサムとはマリナーズ時代に対戦経験があった。メジャー通算40勝左腕の実力を、あらためて高く評価。その上で日本で活躍する条件を「キレない。キレていいことはない」と断言した。

 日米を経験した男は、日本で失敗する外国人投手の典型例を熟知している。

 (1)走者を気にしすぎる。「日本はランナーがチョロチョロすることが多い。それによってボークをとられる」と城島。リズムを崩されて、単純なミスを犯す。

 (2)フラストレーション。ボークをとられ、イライラする。そして相手から徹底的に同じ弱点をつかれる。

 (3)マウンドで集中できない。イライラが募って頭に血が上った状態で強引に投球。「最後は『エーイ』と投げて、打たれる。これで完全にキレてしまう」。

 城島はメッセンジャーも含めた2人を「ランニングゲームをコントロールできる」と評した。走者がチョロチョロする日本スタイルの「ランニングゲーム」にもきっちり対応できるという見立てだ。その上で「僕のつたない英語で『ペイシェント(忍耐強く)』を連発して抑えていかないと」と口にした。3年B組の活発な生徒に愛のある説教をする金八先生の役回りとも言える。

 精神面だけでなく、技術面も支える。投球練習後はフォッサムと意見交換。「ベース板を広く使わないといけない。外に何を集めるか。外にボールからストライクになるスライダーを使ってもいい」と城島。ティーチャー・ジョーが流ちょうな英語で2人の心身を支え、導く。

 [2010年2月14日12時1分

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