阪神金本知憲外野手(41)が宜野座キャンプ第3クール最終日の14日、中西太氏(76=日刊スポーツ評論家)から今季大活躍の太鼓判を押された。中西氏は、金本の太ももを触診でチェック。鍛え上げられて太くなった強打の源に、大暴れの予感を感じ取った。金本もグラウンド状態が悪い中、真弓監督のマンツーマンノックを受けてますます好調をアピール。4番を張る男に今季の死角はない。

 打撃練習中のケージ裏に4人の輪ができた。中西太氏、真弓監督、中畑清氏(野球評論家)に囲まれた主役は、金本だった。談笑の後、おもむろに中西氏らが、両手で金本の太ももをナデナデお触り…。そしてみんな、うなずき合っている。いったい何事?

 

 中西氏

 金本はこの2年、特に昨年は左ひざ手術の影響で激しいトレーニングができず、筋力が落ちて足が細くなってたらしい。それが今年はひざの心配がまったくなく、思う存分練習できたから、下半身の筋肉が太く回復したというんだよ。ものすごい太さ。彼の場合、足もとさえ良ければ何の心配もいらない。

 金本の太もも周囲は、ベスト時で65~66センチ。ユニホーム越しにも分かる張りのある筋肉。中西氏は指先に伝わったその感覚で、活躍を確信した。快調な打撃はこの日も右中間方向を中心に鋭いライナーを連発。「最高の仕上がりじゃないか」。全力疾走も解禁するなど、真弓監督も別メニュー調整が公式戦直前まで続いた、昨年との雲泥に笑顔を隠せない。その土台が、過去2年にない下半身の上出来というわけだ。

 金本の好調さは、異例の守備練習にも表れた。グラウンド状態が悪いにもかかわらず、飛び入りでアメリカンノックに参加。するとノックバットを手にしたのが真弓監督だった。初球、打ち損じの小飛球に監督は「ノーノー!」と大声を挙げたが、構わず内野の位置まで猛チャージ。ぬれた芝生、ぬかるんだ土もお構いなしで、イチローばりの背面キャッチまで2度披露した。監督就任2年目で初めて実現した2人のマンツーマンノック。自ら振るった合計14本の愛のムチで、今季も4番OKを確認したようだ。

 中西氏

 監督は「むしろ若返ってる」と言ってた。昨年は開幕序盤こそ打ったけど、下半身の貯金がない分、夏前から苦しんだ。下がどっしりしてないと踏み込めないし振り遅れる。積極性もなくなる。でも今年はやるぞ。見とってみい。

 昨季は、1試合3連発を中1日で記録するなど序盤は大暴れしたが、終わってみれば打率2割6分1厘、21本塁打、91打点。チームも4位に甘んじた。

 中西氏

 中心の4番がしっかりすれば、すごい打線になる。新井も調子いいし、城島、ブラゼル、そして1番に期待されるマートンも長打力がある。鳥谷、桜井も成長している。昔、近鉄がどっからでも点を取ったような、いてまえ打線になる可能性は十分あるよ。

 どっしり構える4番がいる限り、球史に残る強力打線形成の期待もふくらむ。金本が静かに研ぐリベンジの牙が、いつになく鋭い。

 [2010年2月15日11時52分

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