新助っ人の6番はOK!

 広島は26日、今季オープン戦初戦のソフトバンク戦(福岡ヤフードーム)を行い、1-6で完敗した。しかし、新外国人ジャスティン・ヒューバー内野手(27=ツインズ)が5回、チームのオープン戦1号本塁打を左翼席に放ち、ポイントゲッターとして適性を示した。今季の対外試合3試合すべてで6番に座る。野村監督も「ビッグイニングになる」と期待を寄せるなど、得点力アップの役割を担うことになりそうだ。

 ふわりと舞い上がった白球は、左翼席に弾む。ヒューバーがオープン戦初陣で、いきなり豪快アーチをかっ飛ばした。3点を追う5回。先頭で打席に立ち、サイドから投げ込む藤岡の初球スライダーを強振した。

 「いいスイングができたよ。オープン戦だけど、1本出て良かった。これからも続けて打てるようにしたいね」。ただ、力強くバットを振るだけではない。勝負は4回表の攻撃から始まっていた。三塁側ベンチに座り、打席に目を凝らす。主軸の栗原、フィオレンティーノが連続で空振り三振…。このシーンを見て、狙いを定めた。「他の打者がスライダーに手を焼いているのを見たから。追い込まれる前に、しっかりストライクを振っていこうと思ったんだ」。味方の打席内容を自らの打撃につなげる。頭脳が光った一撃だった。

 野村新監督の「秘蔵っ子」だ。ヒューバーは指揮官が、米国にコーチ留学していた際に、ほれ込んだ選手だった。昨季は3Aで22本塁打をマーク。14日の紅白戦でも本塁打を放っており、ツボにはまったときの飛距離は魅力的だ。この日も、野村監督は「ケンタ(栗原)と一緒で、右の大砲という印象を与えてもらった。キャンプでも練習熱心。やってくれるイメージがあった」とたたえた。

 昨季は、12球団最少の528得点に終わった。破壊力不足を克服するために、1発のある助っ人は理想的な存在だ。指揮官は「栗原のあとにフィオがいて、ヒューバーが勝負のところで(打てば)ビッグイニングになる」と話すように、クリーンアップが塁を埋め、ヒューバーの一撃で得点する青写真を描く。対外試合3戦は6番で起用。この日は貧打に泣いたが、ヒューバーの適性は際立った。

 春季キャンプでは黙々と練習に励んだ。日南市内の温泉に通い、体を癒やすのが日課だった。ベールを脱ぎ始めた助っ人は言う。「オープン戦では結果にとらわれず、課題を持って1打席1打席、取り組みたい」。地に足をつけた男が、日増しに頼もしく映る。【酒井俊作】

 [2010年2月27日11時6分

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