<中日4-4ロッテ>◇1日◇ナゴヤドーム

 昨季限りで阪神から戦力外通告を受け、ロッテにテスト入団した今岡誠内野手(35)が、オープン戦で、昨年のセ・リーグ最多勝男の中日吉見から移籍1号を放った。6回に代打で登場し、高めボール球の悪球打ちで豪快に左翼席へ運んだ。

 新生ロッテに「誠の救世主」が誕生した。阪神時代に「天才」と呼ばれた今岡が、ひと振りで嫌な流れを断ち切った。2点を追う6回1死走者なし。「代打今岡」のコールにナゴヤドームが沸いた。その余韻が残る初球、吉見が投じた139キロの真ん中高めボール球。ほとんどの打者は見逃すか、打ってもフライになるような悪球を迷わずフルスイングした。狙っていたかのようにとらえ、左翼席へ運んだ。

 今岡は「少々のボール球でも振っていくのが持ち味なんでね。いい投手から打てたので、今後の試合で違った感覚のものが出てくるかもしれない」と、独特の感性で好調時のイメージを思い描いた。オープン戦3戦、5打席目で飛び出した移籍初安打が本塁打。初戦は代打で1打数無安打、2戦目は指名打者で先発したが、途中ケガ人が出て急きょ一塁の守備にも就いた。「阪神時代とは違いますから。代打、指名打者、守備もいろいろなパターンがあると思う。どんな役割でも貢献したい。そういう意味で今日はいい仕事ができた」と胸を張った。

 阪神時代には首位打者や打点王を獲得した。だが昨年戦力外通告を受け、12球団合同トライアウトも不合格。引退覚悟の中で、2月にロッテの入団テストを受け合格した。「拾ってもらったロッテに恩返ししたい。それだけです」。真骨頂の打撃に今岡のメッセージが詰まっていた。【鳥谷越直子】

 [2010年3月2日8時29分

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