<ソフトバンク3-2西武>◇3日◇福岡ヤフードーム

 見えた、開幕ローテ!

 ソフトバンク巽真悟投手(23)が西武とのオープン戦で1年ぶりに1軍戦先発を果たし、5回2失点と踏ん張った。西武の新外国人ブラウンに2打席連続のソロ本塁打を浴びたが、西武岸を参考に身につけたカーブを効果的に使い、失点2に食い止めた。秋山監督からも2年目の進歩を認められ、目指す開幕ローテへ大きく歩を進めた。

 ほおをふくらませて「ふぅ~っ」と大きく息を吐き、巽が小走りでマウンドを降りた。5回5安打2失点。満点のデキとはいかなくても、胸の内には確かな手応えがあった。

 巽

 5回2失点でおさまったのは、カーブでカウントがとれたから。いいところに決まっていた。

 110キロ台のカーブが光った。主砲中村には2、4回の2打席ともタイミングを外し、いずれも遊ゴロに仕留めて「おかわり封じ」に成功。最速143キロの直球やスライダー、チェンジアップを組み合わせて4三振を奪うなど、投球にも幅ができた。昨年のオープン戦以来1年ぶりの1軍戦先発で、成長を見せつけた。

 3年越しで“岸カーブ”をものにした。ドラフト1位指名を受けた直後の08年11月。テレビの前で日本シリーズを見ていて思わずつぶやいた。「あの球が欲しい」。目を奪われたのは巨人打線を手玉に取った西武岸のカーブだった。もともと巽はパームやナックルまで投げられる器用さの持ち主。だが、最も基本のカーブだけは「強く腕を振って緩い球を投げるのが難しい」と苦手にしていた。

 1年目の昨年は結果を出せず、昨秋から再びカーブの習得を試みた。田之上投手コーチから「四隅を狙わなくても、真ん中でもタイミングをずらせばいい」と助言を受け、思い切り腕を振ることに専念。ようやく手の内に入れた。

 秋山監督も前進を認めた。「やるべきことはやっている段階。(開幕ローテへのステップは)上がってきていると思う」と評価した。ただ、まだ内定とはいかない。「同じ打者に2発くらっていてはいかん」。課題に挙げたのはブラウンに喫した2打席連続アーチ。「球はだいぶいい。あとは精度だな。低めに集めるとか、コーナーに決めるとかね」。この日は直球が浮く場面が目についただけに、修正を命じた。

 巽自身も満足はしていない。「フォームが崩れたところもあった」と反省も忘れなかった。次戦は4日に登板する藤岡や大場との兼ね合いで流動的だが、10日の横浜戦(横浜)が有力。昨季は中継ぎで1試合に登板したのみと実績では大きく見劣るだけに、好結果を積み重ねるしかない。「『コイツなら1年間を任せられる』という投球をしたい」。はっきりと見え始めた開幕ローテへの道。前進あるのみで突き進む。

 [2010年3月4日14時22分

 紙面から]ソーシャルブックマーク