<阪神1-7広島>◇12日◇スカイマーク

 右の神様や!

 阪神矢野燿大(あきひろ)捕手(41)が、オープン戦初安打を豪快な1発で飾った。代打出場したオープン戦でアーチ。98年の阪神移籍後では公式戦も含めて自身初の「代打弾」だった。今季は城島の加入により正捕手としては厳しい立場に追い込まれたが、手薄な右の代打の切り札として期待を抱かせた。

 6回1死。カウント0-1からのシュートを豪快に振り抜くと、打球は一直線に左翼席へ。「自分でも入るとは思わなかったから、必死に走った。ただ、ここまで打ててなかったから、やっぱりうれしいね」。オープン戦で5打数無安打4三振と苦しんでいただけに、自然に笑みがもれた。

 捕手ながら通算打率2割7分4厘を誇る打撃センスを生かせるのは、勝負どころの代打だ。チームには左の代打には桧山がいるが、右の代打として絶対的な存在がいない事情もある。正捕手をあきらめたわけではない。ただ「第1に捕手として出るためにやるが、代打なら代打で頑張らないといけない」と現状を受け入れる覚悟もできている。

 オープン戦今季初出場となった9日の日本ハム戦(京セラドーム)の試合前。ベンチには相手の練習に目を光らせ、新戦力をチェックする「捕手矢野」の姿があった。阪神で12年間、正捕手を務めてきた自負もある。代打として自身の働き場所を見いだすことに葛藤(かっとう)もあるだろう。それでも「代打矢野」という存在がチームにもたらす影響は、計り知れない。【石田泰隆】

 [2010年3月13日9時32分

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