<巨人6-7阪神>◇16日◇東京ドーム

 阪神城島健司捕手(33)が、初ものラッシュでG倒劇を演出した。6番捕手で先発。2回の第1打席でタテジマ初アーチを放って勢いをつけ、4回に左前打で出塁すると、ベンチのサインに応え二盗に成功。今季初盗塁を記録した。6回にも安打を放ち、初の猛打賞もマーク。今年の巨人戦は、ジョーがいないと始まらない!

 敵地の空気を一変させた。大量4失点した直後の2回1死の初打席。城島は山口が投じた129キロのスライダーをぶったたいた。阪神ファンで黄色に染まった左中間に追撃のオープン戦1号ソロ。弾丸ライナーの初アーチで楽勝ムードに沸く巨人ファンを黙らせた。

 城島

 お客さんが多く入って、選手もアドレナリンが出て着実に開幕に近づいている。先っぽだったけど、東京ドームは狭いから。シーズンにとっておきたかったが、いいんじゃない。

 嫌なムードを吹き払った。1回は、負傷交代した下柳と緊急登板の渡辺が5連続長短打を浴びて4失点。それを豪快弾で接戦に引き戻した。和田打撃コーチは「(城島は)流れや雰囲気を変えてくれるからね」と目を細めた。

 敵地で初の巨人戦は、初ものづくしだった。4回の2打席目は左前打で出塁すると、1死後に桜井の2球目で初盗塁をマーク。一塁手高橋由がベースを離れたスキをついて楽々と二塁を陥れた。「『走ってもいいですよ』という守備隊形なので挑戦した」と振り返った。

 実は、盗塁は日米15年で通算70個を記録している「隠し武器」だ。「僕は盗塁の数じゃない」。相手に警戒させて一塁手がベースにつけば、一、二塁間のヒットゾーンが広がる。ただこの日は「次の打席も(一塁手が警戒して)ベースについてなかったから(相手は)たいしてこたえてない」と笑った。

 6回にはマイケルから右前打を放ち、初の猛打賞もマークした。状況に応じ、ときに豪快に振り、ときにチャンスメークに徹する。相手のスキをつく走塁も含め、城島の存在感があらためて際立った。

 準備を重ねたゆえの、城島ショーだ。この日はチームよりも約2時間早く宿舎を出発。これまで1人で早出トレーニングを行っていたが、この遠征から1軍合流した清水を伴って登場。「新しい仲間ができました」と喜んだ。黙々と約50分間、観客席のコンコースを走った。そして清水に送球の助言をしつつ、巨人の打撃練習に目を光らせた。

 宿敵巨人を敵地でねじ伏せるきっかけをつくった。これでオープン戦は19打数7安打3打点、打率3割6分8厘。「開幕10日前にしてみれば、順調かな」。さりげない言葉に、手応えがにじんだ。

 [2010年3月17日11時8分

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