<巨人4-2ロッテ>◇15日◇東京ドーム

 巨人の東野峻投手(23)が投げて打ってハーラートップの7勝目を挙げた。両リーグの首位の激突は、東野が12球団トップの打率を誇るロッテ打線から自己最多の12三振を奪う力投を見せた。9回1死から失点して連続無失点は27イニングで止まったが、自身初の毎回奪三振をマークした。打っても2回に先制の左前適時打を放ち、投打で連勝に貢献した。

 原監督の期待に応えられなかった悔しさが込み上げてきた。マウンドを降りる東野に笑顔はなかった。9回1死一、二塁、福浦に適時打を浴び、クルーンにバトンを託した。「(勝ちは)うれしいですけど、悔しさの方が大きいです」。交流戦初勝利で自身初の7連勝を達成したが、自分への厳しい言葉が並んだ。

 2試合連続完封目前の9回無死一、二塁、原監督がマウンドへ駆け寄ってきた。「このゲームは任せる。でも150球は超えさせられない。それまで全力で頑張れ」。4月4日の広島戦。3点リードの4回無死、カウント0-3で「次、四球なら交代だぞ」と“降板”指令を受けたが、この日は期待を込めた“続投”指令だった。だからこそ「最後まで自分で投げてやろうと。ゲッツーを狙いにいったんですが、打ち取れなかった」と唇をかんだ。

 悔いの残る投球でも、原監督からの忠告は忠実に守った。4月中旬の練習前、原監督に呼び止められた。「エースになる男というのは、投げるだけじゃないんだ。チームプレーができてこそ(エースになれるんだ)」。指摘したのは、同4日広島戦の初回に1度もけん制せず、梵に盗塁を許したことだった。ロッテの1、2番は俊足コンビ。3回、西岡に出塁を許したが2度けん制を挟み、阿部の強肩で二盗を阻止した。

 投打共にキレまくった。投げては5安打2失点、初の毎回の12奪三振。自身最多の145球を投げた。試合開始前、2割9分4厘を誇った球界一の強力打線から、最速146キロの直球とスライダーで手玉に取った。打っては2回2死満塁で先制の左前適時打。高校時代から高く評価されていた打撃センスを発揮した。原監督からは「適度に荒れていて、彼らしい野性的なピッチングだった」と称賛されたが、最後まで投げきるという宿題は残された。監督の期待に応えた先に、11日の共同会見で誓った「交流戦初優勝」が見えてくる。【久保賢吾】

 [2010年5月16日8時41分

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