<横浜8-7巨人>◇18日◇横浜

 巨人が、44年ぶりに逆転サヨナラ満塁本塁打を浴びて敗れた。3点リードで迎えた9回、6番手で登板した守護神マーク・クルーン投手(37)が1死満塁のピンチを招き、横浜ブレット・ハーパー内野手(28)に手痛い1発を右中間スタンドに運ばれた。巨人が逆転サヨナラ満塁本塁打で負けるのは、66年8月2日の中日戦以来となった。お得意さまの横浜に、同一カード3連戦では2季ぶりの負け越し。首位は変わらないが、7月に入ってリーグ最下位の4勝9敗と苦しんでいる。

 沸き上がる横浜の選手たちをバックに、クルーンは静かにロッカー室へ消えた。10分もしないうちに着替えを済ませ、速足で球場出口へ向かった。たまたまハーパーの家族とすれ違い気丈にあいさつを交わしたが、質問には表情を硬くした。「ストライクが入らなかった。それに尽きる」と答えをしぼり出した。

 制球難から自滅する「悪いクルーン」が出てしまった。9回、先頭橋本に右前打。1死は取ったが、ここから連続四球で満塁を招いた。最後は、ハーパーの内角を狙った初球スライダーが真ん中寄りに入り、逆転弾を浴びた。打者5人に計16球を投げ、ストライクゾーンに行ったのは4球だけ。際どいコースを突くボール球もなく、明らかに外れた球ばかりだった。満塁で3点差。絶対に本塁打だけは避けねばならず、初球を簡単に打たれたことに悔いが残る。それでも、原監督は「細かいことを言えばそうだが、結果的に4点を取られたということ」と簡潔だった。

 大家に5回まで完全に抑えられていた打線が、6回に7得点で逆転。中継ぎ陣がつなぎ、3点差で9回は満を持してクルーン。5点台の防御率が示すように、今季は必ずしも万全ではない。ただ、ここ6試合連続で救援成功。制球難が影を潜め、安定感を取り戻していただけに、まさかの展開だった。「最後、うちのパターンの中でクローザーが打たれたということ。後は何もありません」という原監督の言葉は、率直な気持ちだろう。

 もっとも、この日も先発が崩れた。オビスポが5回途中10安打3失点で降板。7月、先発の勝利は東野の1勝だけと、主導権を握れない試合が多い。投手陣のテコ入れへ、オビスポに代わり、6月17日に支配下選手契約を結んだ来日2年目ロメロの1軍初昇格が決まった。前半戦も残り3試合。原監督は「野球は最後まで分からないということですね。まあ、切り替えていきます」と努めて明るく締めた。【古川真弥】

 [2010年7月19日9時48分

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