<ソフトバンク5-9日本ハム>◇15日◇福岡ヤフードーム

 日本ハム武田勝投手(32)が、珍ハプニングにもめげず2年連続2ケタ勝利に到達した。お得意様のソフトバンク打線より、肝を冷やしたのは8回1死。突如、「ミン!」という鳴き声が鼓膜に届く。右肩付近を見ると、セミが羽を休めていたという。虫が大の苦手で、しかも打者は5回に先制2ランを献上した長谷川。絶体絶命だった。

 持ち前の冷静さ、大胆さで難局に対処した。武田勝によると「ミン!」と鳴き返し、左手ではらいのけたという。「屋外なら分かるけれど、福岡ドームでセミはなしでしょ」。マウンド上に生きたままのセミを残し、やり切れないまま痛烈な当たりを浴び、グラブをはじかれる中前打を許した。

 負傷を心配した島崎投手コーチと吉部トレーナーがマウンドに集合。同トレーナーが持ち去って落着したが、この回1失点で途中降板の憂き目を見た。それでもソフトバンク戦5連勝を飾り、梨田監督は「マサルが『ムシ』してよく投げたね」と得意のダジャレで絶賛した。再び貯金1で上位追撃へ。左腕エースに羽を休める時間はない。【高山通史】

 [2010年8月16日11時53分

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