<阪神2-2中日>◇9日◇甲子園

 中日は痛恨のドローで自力優勝が消滅した。1点リードの9回2死三塁、岩瀬仁紀投手(35)が苦悶(くもん)の表情を浮かべた。代打・桧山への初球は内角へのシュート。計算通りにつまらせたが、打球は右前にポトリと落ちた。あと1アウトで、153日ぶりの首位浮上だったが、最後の最後で暗転した。「勝てたゲームなんで…。そんなこと言っていられない。(ストッパーは)結果だけなんで」。岩瀬は重い足取りで帰りのバスへ向かった。

 ネルソンが1失点と踏ん張って、7回途中から高橋、浅尾、岩瀬の必勝リレーで逃げ切る計算だったが、自慢の方程式が最後に崩壊した。だが、落合監督は痛い引き分けかという問いに、いつもの淡々とした表情でこう答えた。「そうでもないんじゃない。あそこで追いつかれたんだから。負けなかったんだから、いいんじゃない。強いて挙げれば頭越されて三塁打になるところに守っていたのが問題。幼いな。こちらが教育を徹底できていないということだ」。岩瀬を責めず、藤川俊の打球を三塁打にした右翼藤井の浅い守備位置を指摘した。

 目の前でスルリと消えた首位。ただ、救いは0・5ゲーム差という事実と、9月末に残る本拠地での直接対決3連戦だ。逃げたチャンスなら、もう1度つかめばいい。【鈴木忠平】

 [2010年9月10日10時55分

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