虎でもケンカ投法や!

 阪神入団が内定している加藤康介投手(32)が12日、高知・安芸市営球場のサブグラウンドで始動。横浜時代に武器にした内角攻めを、新天地でも貫く覚悟を示した。左キラーとして期待される中継ぎ左腕は、13日の第4クールからチームに合流する。

 誰もいないグラウンドで、加藤が新天地での第1歩を踏み出した。午前10時10分、ウオーキングから徐々にスピードを上げてのランニング。ひとしきり汗をかくと、トレードマークのサングラスをかけ、キャッチボールを始めた。

 50メートルの距離で肩を慣らすと、39球目からギアを切り替えた。勢いある直球に、カーブ、チェンジアップ、シュート、スライダーを試投。フォーク以外の持ち球をすべて投げた。クイックモーションからも5球を投げ、入念にスタンバイした。32歳にして4球団目。背水の覚悟が体を突き動かし、64球を投げた。そして、決意の内角攻めを宣言した。

 加藤

 気持ちでやるしかない。調子がどうとか、言ってられない。技術より、打者に向かっていく姿勢を見てほしい。どっちみち打たれるなら攻める方がいい。どんどんインコースを突いていこうと思う。

 7月11日の甲子園。大砲ブラゼルに対し、果敢に懐を突いた。激高したブラゼルに、詰めよられそうになってもひるまなかった。冷静に三振に打ち取り、存在感を示した。ブラゼルに対し、今季は8打数2安打2三振。自分の生きる道は、厳しい攻めと心得ている。

 意気込みが強い分だけ、緊張感も強い。力を入れて投げた球の初球と、カーブの初球は、大きく山川スカウトの頭を越えた。「緊張するなぁ」とポツリつぶやいた。

 加藤

 こういう(注目される)環境でやったことがないので…。(前日)ホテルに来て、いきなりカメラで撮られて、そこから驚いた。

 人気球団ならではの注目度に戸惑いはあっても、気後れはない。期待されるのは、中日・森野、巨人・小笠原、阿部らライバルの左打者を封じること。今季49試合に登板した渡り鳥のサウスポーが、勝利の方程式の中に居場所を見つける。

 [2010年11月13日10時59分

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