楽天星野仙一監督(63)が、新人選手に向けて熱いメッセージを発した。楽天の新人選手の入団会見が13日、仙台市内のホテルで行われた。ドラフト1位の塩見貴洋投手(22=八戸大)ら育成を含む8選手を「プロ野球に大いに貢献する選手になってほしい」と激励。門下1期生となる選手に対する期待は大きく、会見終了後も「男の大小はタマで決まる。肝っ玉だよ!」と、闘将らしい熱弁を振るった。

 目尻をちょっと下げ、柔和な顔つきで、語り掛けるように門出の言葉を贈った。だからこそ逆に、星野監督が胸に秘める闘争心が際立つメッセージだった。「楽天に、プロ野球に、貢献する選手に育って欲しい。おめでとう!」。コイツらとともに楽天の歴史をつくる。ひな壇のど真ん中から送ったエールには、愛情と断固たる決意がぎっしりと詰まっていた。

 思い入れを持たずにはいられない8人だ。楽天に来て最初に迎え入れる新人たち。しかもドラフト1位の塩見は自ら右手で引き当てた。就任会見翌日の初仕事だった。日本ハム斎藤、西武大石…。今は注目度で負けるかもしれない。だが根っから負けん気が強い闘将は、それが我慢ならなかった。最高峰の舞台へたどり着いた選手を鼓舞するべく、「40年も前」の自らの経験をひもときながら、心得を次々と挙げていった。

 (1)入団してからが勝負だ

 星野監督

 入る前の注目はアマ時代の活躍なんかで決まるが、プロに入った以上は、入った後で、どれだけファンにアピールできるかで勝負が決まるんだ。

 (2)名勝負を演じるようなライバルを作れ

 

 星野監督

 最近は名勝負が少ないよな…。オレのときは、V9時代の巨人を倒してなんぼや、と。良い意味でONにライバル意識があったんだ。

 (3)男は肝っ玉だ!

 

 星野監督

 アドバイスはキャンプで見てからだな。まだ、早い。でもオレがいつも言うことだが、男の大小は、体の大小で決まるんじゃないんだ。玉で決まる。(キンタマの大きさ?)違う!

 肝っ玉だよ!

 ハートの強さだ!

 思いは届いていた。監督の気迫に押されることなく、逆にグッと気持ちを前に出した。「闘将。熱い方。その熱さに負けないように」(塩見)、「闘将というイメージ。その下で頑張りたい」(美馬)、「マウンド度胸とピンチでも動じない気持ちの強さ。自分も誰にも負けない」(木村)。入団会見から心の奥のスイッチを入れてもらい、最高のスタートを切ることができた。

 最後は真新しいユニホームをまとった8人に囲まれた闘将。助走期間は終わった。クリムゾンレッドの背番号「77」に身を包んだ来年2月1日、闘争心はいきなりレッドゾーンに突入する。【古川真弥】

 [2010年12月14日8時59分

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