“主役”を奪い返す。日本ハム中田翔内野手(21)が沖縄・名護キャンプ初日の1日、フリー打撃で52スイング中13本の柵越えを披露した。場外弾あり、スコアボード直撃弾ありと、快音を連発した。ドラフト1位斎藤の注目度は高いが、3年前の大物ルーキーが、負けじとバットで存在感を示した。

 早朝の予告は本物だった。斎藤フィーバーに沸く球場へと向かう途中、若干影の薄くなっていた中田は「1日目から飛ばしますよ」と全開宣言していた。

 言葉通り、佑ちゃんら投手陣がサブグラウンドへと移動し、観客が少なくなったのが翔タイムの合図。フリー打撃で52スイング中13本の柵越えを披露し、“主役”を奪い返す勢いで充実のオフをアピールした。「いやいや、これからですよ。(打撃は)飛距離じゃないですから」。涼しい顔で“決めゼリフ”もバッチリだ。

 注目度の高い斎藤の加入で「自分は集中してできる部分はあります」と、練習序盤は黒子に徹していた。だが、バットを持つと存在感は際立った。名護球場で1番深い左中間への場外弾をはじめ、左翼の砂浜付近にもズドン。さらにスコアボード上部のボールカウント表示を直撃する打球も2発あり、右へ左へ、オーバーフェンスを連発。隣で打っていた新外国人ホフパワーを、和製大砲が圧倒していた。

 メジャーへと旅立つ先輩から、しっかりと置きみやげを受け取った証しだ。合同自主トレを行ったツインズ西岡から、打撃について多くを学んだ。昨季200安打を放った大阪桐蔭の大先輩。「いろいろ教えてもらいました」と詳しくは語らなかったが、周囲の評価も上々だった。

 打撃ケージ裏で見ていた梨田監督には「左脇をしっかり締めて、いい打球が飛んでいた」と、欠点矯正を評価された。指揮官には「監督、コーチが教えても直らないけど、西岡さんが言えば直るんだな」と、きつ~い冗談を飛ばされるほど、打撃フォームは安定していた。

 全体練習終了後には45分間の特打もこなし、初日から精力的にバットを振り込んだ。だが、最後にオチが…。意気揚々と宿舎に引き上げたが、長く練習をやったことで、増員されていたはずのホテル前の交通整理要員はすでに不在。自力で横断歩道のない車道を渡らなければならず、待たされることになり「(佑ちゃんとの扱いが)やっぱちゃうなぁ…」と“脇役扱い”に苦笑いしていた。【本間翼】

 [2011年2月2日10時24分

 紙面から]ソーシャルブックマーク