<オリックス2-0西武>◇22日◇京セラドーム大阪

 オリックス朴賛浩投手(37=パイレーツ)が、来日初勝利を挙げた。西武戦で7回3安打無失点の快投。124勝したメジャー時代の最速161キロの剛球はなりを潜めたが、打たせて取る投球を披露。球団が企画した「コリアンデー」でチームの連敗を3で止める立役者となった。

 日本球界で刻んだプロ125勝目。お立ち台、ファンへのあいさつ、囲み取材中もウイニングボールを右手でギュッと握り締めた。オリックス朴賛浩。かつて161キロを出し「コリアンエキスプレス」と呼ばれ、124勝を挙げた元メジャーが、本拠地初登板で見事な“自己紹介”だった。

 「チームの連敗を止めた価値ある1勝。自分は先発として役割を果たした。コリアンデーで大勢の韓国の人も見ていて、韓国の音楽が流れ、エネルギーを感じた。このボールは自分のコレクションに加えるよ」。

 お立ち台では「ありがとう。カムサハムニダ」と、日韓両国の言葉でファンに感謝。流ちょうな英語と合わせ、今は3カ国語で仲間とコミュニケーションをとる。見せた投球もまた、流ちょう、滑らかだった。

 もう剛球はないが、最速145キロでもアウトは取れる。西武は右打者が先発に6人。内角にツーシームを食い込ませ、逃げる変化球で外角に広いストライクゾーンを利用した。ベース上の3次元空間を有効活用。さらにチェンジアップ、カーブでブレーキを効かせ、クレバーに打者のタイミングを外す“4次元投球”で、7回3安打無失点にまとめた。21アウト中、内野への打球は12個と、打たせて取るスタイルを示した。

 今カードは朴賛浩、李承■の韓国の英雄2人にちなんだ「コリアンデー」で、売店の料理からBGMまで韓国一色。5回終了後、チアダンスチームが韓国のアイドルグループKARAの代表曲「ミスター」の腰振りダンスで盛り上げると、朴は「本物が来たのかと思ったよ」と気分を乗せた。

 燃える材料はまだあった。2回表に女房役の鈴木がクロスプレーでブラウンに吹っ飛ばされ、負傷交代に追いやられた。「怒りに近いものが込み上げた。野球の一部だし起こりえることだけど、闘争心を上げてチームメートのために投げようと思った」。3回からバッテリーを組んだ伊藤も果敢に内角へミットを構え、朴の闘争心を受け止めた。

 連敗を3で止める力投に、岡田監督は「最初は四球が多かったけど辛抱強く投げたよ」と力強くうなずいた。15日の来日初登板前は「奥さんが作るカツ丼を食べる」と話して黒星。料理研究家の梨恵夫人はチャーハンとキムチで流れを変え、送り出した。新しい仲間、日本での挑戦を支える家族と一緒につかんだウイニングボールを大事そうにかばんにしまった。【押谷謙爾】※■=火へんに華