まるで新庄!?

 高卒2年目で沖縄・宜野座キャンプに大抜てきされた阪神中谷将大捕手(19)が9日、シート打撃で攻守に魅せた。右翼からレーザービームで二塁走者の田上を本塁で刺した。打撃が注目されがちだが、守備でもキラリ。虎党を熱狂させた、あの新庄ばりの強肩を披露。打撃で左前打と、外野争いにくらいつく。

 遠投120メートルの“鬼肩”が発揮された。シート打撃の1死二塁の場面。打者大和が右前打を放った。右翼を守っていた中谷は、捕球すると素早くモーションに入り、本塁目がけて“剛球”を投じた。ワンバウンドした、やや三塁寄りのレーザービームで二塁走者の俊足田上を刺した。センスあふれる、その勇姿はまるで新庄…。他球団をびびらせたスーパー外野手にダブって見えた。

 中谷

 あの時は低くカットまでという気持ちで投げてワンバンだった。低くワンバンで送球できるようにしていきたいです。

 自慢の肩を見せつけ、守備でもアピールした19歳は、新庄のフォームにも似た打撃でも魅せた。左腕藤原と対した第1打席。2ボール2ストライクから、高めチェンジアップを左前に運んだ。第1クールは5日間で100発の柵越えを放ったが、この日の屋外フリー打撃では57スイングで1発とペースダウン。疲れがある中でも、実戦形式では勝負強い打撃が光った。だが、2打席目以降も続かなかったことをむしろ反省した。

 中谷

 崩されてもヒットを打てたのは良かった。2、3打席は悪かったので、打った後のバッティングをしっかりしていきたい。

 打って投げてキラリと輝いた。持って生まれたスター性も新庄をほうふつとさせる。昨秋の安芸キャンプのシート打撃で安藤から左中間越え本塁打を放った際、和田監督も「リストの使い方は新庄に似ている」と新庄似の太鼓判を押していた。

 安芸キャンプから本格的に外野手に転向。福岡工大城東時代に左翼を守った経験はあるが、守備では課題が山積み。ステップがうまく踏めず、送球がスライスする傾向がある。連日、特守がメニューに組み込まれ、この日も金武(きん)町ベースボールスタジアムで早出特守。全体練習後も金武に移動し送球練習を繰り返した。

 関川外野守備コーチ

 今日に関しては良かった。足が使えていない。しっかりした捕り方をしないといけない。今は肩が元気だからいいけど、ナンボ打っても守るところがなかったら(試合に)出るところがない。

 今季初実戦の12日の練習試合・日本ハム戦(宜野座)では「4番右翼」で1軍デビューが有力だ。1軍デビューが予定されていた昨年安芸キャンプの練習試合は、雨天中止となった。和田監督は「1戦目から出るのは間違いない。だんだん主力が出てくるが、そこでも出るくらいになってほしい。打つだけの選手にはなってほしくない」と期待を寄せた。新庄2世の夢膨らむ未来の4番が、外野争いをもっともっと熱くする。【岡本亜貴子】