<日本ハム0-5ソフトバンク>◇7日◇札幌ドーム

 最終打席へのこだわりが記録を生んだ。ソフトバンク明石健志内野手(26)がファウルで球場を盛り上げた。9回2死走者なしの第5打席。相手は日本ハム乾。カウント1ボールから2度の6球連続ファウルを含む19球を投げさせ、四球を引き出した。1打席19球は65年ぶりの日本タイ記録で、2リーグ制では明石が最多だ。

 「仕留められませんでした。捉えてはいるのに…。その中(ファウル)でボール球もありましたけど」。安打できなかった悔しさを素直に漏らしたが「明日につながる」と四球という結果には前向き。結果的にとどめの5点目につながった。

 乾の19球のうち13球が真ん中から外だった。明石は外に低く逃げていくスライダー5球をすべてカットした。もともとローボールヒッターで、立花打撃コーチから「インハイは捨てろ。体が浮き上がらないようにしろ」と口酸っぱく指導されてきた。

 乾は「ここで抑えたら球場の雰囲気が変わるかなと思った。(明石は)見ててああいう粘り方をしていたし、自分はまだ甘いなと。もっと引き出しが増えれば」と明石との勝負を振り返った。【押谷謙爾】

 ▼ソフトバンク明石が9回、乾に19球投げさせた(ファウル15球、ボール4球)。公式戦で1打席19球は、最も粘った1リーグ時代の47年松井(太陽)に並んだ。公式戦以外では62年日本シリーズで投手の久保田(東映)が小山(阪神)相手に19球粘って投ゴロ、93年オープン戦で後藤(巨人)が足利(ダイエー)から20球粘って四球を選んだ例がある。