楽天のドラフト2位則本昂大投手(22=三重中京大)が、29日ソフトバンク戦(ヤフオクドーム)で開幕投手を務めることが25日、分かった。新人が開幕投手を務めるのは球団創設9年目で初。セ、パを通じては84年のヤクルト高野光以来29年ぶりとなる。本来ならエース田中が適任だったが、WBCでの負担を考慮されて開幕戦は回避。オープン戦で好投を続けた即戦力右腕に大役が回ってきた。

 大舞台のマウンドが新人に用意された。エースに代わる開幕投手を任されるのは、最速154キロのルーキー則本だった。3年目の星野体制で勝負のかかるシーズン。さらに球団創設9年目で初優勝を目指すチームの第1歩を、ルーキーの腕に託すことになった。

 田中はWBC出場の負担を考慮され、4月2日のオリックスとの本拠地開幕戦に回ることが決まった。代役は辛島、釜田、則本、ダックワースだったが、辛島は左肘痛で離脱。最有力候補だったダックワースも23日の巨人戦で4回途中5失点と不安を残した。対照的に則本は24日の巨人戦で5回1安打無失点。開幕投手について星野仙一監督(66)は「ダックは好投しても、将来につながらない」と、37歳のベテランの実力を認めつつ、若手の起用を示唆していた。

 則本はオープン戦5試合で3勝0敗、防御率は12球団3位の1・44と抜群の成績を残した。17日の広島戦では7回86球で交代。開幕に向けて投球回を増やしたいところだが、24日の巨人戦は好投しながら5回61球で降板している。開幕まで中4日の負担を考慮しての交代だったとみられる。

 ルーキーらしからぬ強気の内角攻めは星野監督の好む投球スタイルでもある。日ごろから「新人を使うことは全然怖くない」と話す同監督が、開幕投手として則本を起用しても不思議はない。闘将が大抜てきで勝負に出る。

 ◆則本昂大(のりもと・たかひろ)1990年(平2)12月17日生まれ、滋賀・多賀町出身。八幡商から三重中京大に進む。4年時の大学選手権では1回戦の大体大戦で20奪三振。大学通算でリーグMVP1回、ベストナインに2回選出された。最速154キロの直球に加え、スライダー、チェンジアップなど変化球も多彩な右腕。178センチ、81キロ。右投げ左打ち。