<日本ハム2-7ソフトバンク>◇18日◇帯広

 昨季リーグMVP左腕の面影は、今はない。日本ハム吉川光夫投手(25)が3回1/3を5安打3失点で、まさかの自身6連敗。先発ローテに定着した昨年以降、体調不良による途中降板をのぞけば、自己最短でのノックアウト劇となった。栗山英樹監督(52)は今後について「(登板の)間を空けたほうがいいのかとか、いろいろと考えてはいる」と起用法の再考を示唆。チームの連勝は3で止まり、上昇ムードは一気にしぼんだ。

 試合後の背番号34は、潔かった。視線をしっかりと上へ向けたまま「本当に申し訳ありません。何も言うことはありません」。まさかの、自身6連敗。謝罪の言葉を繰り返すと、多くを語らずに帰りのバスへ乗り込んだ。

 エース格として期待されながら、背信投球が続いている。1回、いきなり先頭打者を四球で歩かせると、犠打と暴投で1死三塁とし、内川に先制の中前打を許した。2回は柳田にど真ん中の144キロ直球をバックスクリーンへ運ばれ、味方が1点差に詰め寄った直後の3回も四球から失点。ふがいない左腕に、4回、走者を2人出したところで、ついに栗山監督の堪忍袋の緒が切れた。「悩んでいるように見えたので、何かしないといけないと思った」と、スパッと継投を決断。4回で1-3。「吉川が毎回1点ずつ取られていくようでは、向こうのペースになって、何点取れば勝てるのか攻撃のイメージがわかなくなる」。エース格としての自覚を促すため、あえて厳しい言葉を並べた。

 昨季のチームの勝ち頭を欠いたままでは、上位浮上は難しい。苦しい投手事情から、先発ローテーションから外すことは出来ない存在。栗山監督は「(登板の)間を空けるのがいいのか、頭の中で考えていることはある。いずれにしても、吉川がしっかりしないと、このチームは前に進まない。方法は考えます」。なかなか長く暗いトンネルを抜け出せない左腕の起用法に、頭を悩ませていた。【中島宙恵】