<楽天3-5日本ハム>◇21日◇Kスタ宮城

 日本ハム中田翔内野手(24)が、まさかのアクシデントに見舞われた。1回、左手甲に死球を受けて途中交代。仙台市内の病院で検査を受けた結果、「左手第5中手骨」の亀裂骨折と診断された。今日22日に出場選手登録を抹消される。3週間は患部を固定した後、状態を見て運動を再開する。今季残りリーグ戦の出場は絶望的。さらに、現在リーグトップの28本塁打だが、初の本塁打王も難しい状況となった。

 検査結果は非情だった。中田が、左手を骨折した。「何週間空くか分からないですけど、しっかりやってまた1軍に戻ってきたい」。1回の第1打席で左手甲に死球を受けた。試合中に仙台市内の病院へ向かい、左手第5中手骨の亀裂骨折と診断された。3週間は患部を固定する必要があり、運動再開は状態を見ながらになる。横田チーフトレーナーは「トータルで1カ月以上はかかるでしょう」と説明。今日22日にチームを離れ、札幌市内の病院で再検査するが、今季絶望の可能性が出てきた。

 試合開始から約6分後のアクシデントだった。楽天美馬が投じた146キロのシュート系の球が、患部を直撃した。「直で(左手甲に)当たっちゃったんで」。思わず右手で左手を押さえ、左膝が地面に落ちた。すぐに立ち上がったが、表情はうつむいたまま。1度ベンチへ退いたが、治療を終えると何事もないように一塁へ。その裏の守備も、いつも通りに左翼へ向かったが限界だった。

 「バットが振れないという感じだったので。トレーナーさんの判断です」。2回の第2打席。若き主砲には代打ホフパワーが告げられた。前日20日までチームでただ1人フルイニング出場していた。4番としては昨季から249試合、試合出場は11年から271試合続けてきた。今季初めて中田の名前がスコアボードから消えた。自己最多タイの4試合連続本塁打がかかった一戦は、1度もスイングできないまま途中交代となった。

 左手甲は古傷だ。「同じ場所かなぁ」。昨年の日本シリーズ第2戦。この日と同じように、1回の第1打席で巨人沢村から同じ箇所に死球を受け、左手小指を骨折。選出濃厚だったWBC日本代表の強化試合も棒に振った。今季は自身初の30本塁打到達まであと2本と迫り、初の本塁打キングも視野に入る中でのアクシデント。ともに達成するのは、難しい状況になった。

 魔の仙台となってしまった。7月11日には大谷が同球場で、試合前練習中にフリー打撃の打球が顔面に直撃。右頬骨不全骨折を負った。2カード連続で、チームの将来を担う若者が思わぬ事態に巻き込まれた。4番不在となった試合は、エース武田勝の快投と打線の奮起で首位楽天に連勝した。上げ潮ムードも、不動の4番の故障に栗山監督も沈痛だった。「誰かが代わりをやるということはない。翔の代わりはいない。本当に悔しい。オレも悔しい」。中田の代わりには高卒2年目の石川を初昇格させることになった。3年連続Aクラス入りへ、チームも正念場を迎えた。【木下大輔】<中田の主なアクシデント>

 ◆左手首骨折

 1年目の08年6月14日、イースタン・リーグ西武戦で右飛を放った際、左手首を痛めて途中交代。当初は捻挫と診断されたが、1カ月後の精密検査で左手有鉤(ゆうこう)骨骨折が判明し、全治1カ月の診断で骨片除去手術。

 ◆左膝半月板損傷

 10年4月21日、イースタン・リーグ巨人戦での守備で捕球した際に左膝を負傷。診断は半月板の損傷で、5月10日に手術を受けた。全治2カ月とされ、7月19日ロッテ戦で1軍復帰。

 ◆内耳性目まい

 11年9月20日、西武戦で目まいと吐き気を訴えて欠場。2日後の検査で内耳性目まいと診断された。

 ◆骨折本塁打

 昨年10月28日、巨人との日本シリーズ第2戦で左手甲に死球を受けて途中交代。打撲と診断されたが、痛み止めを飲んで強行出場し、11月3日第6戦でシリーズ1号となる同点3ランを放った。しかし、同5日の精密検査で左手第5中手骨を骨折していることが判明し、全治3週間と診断された。