<ロッテ2-6楽天>◇12日◇QVCマリン

 楽天釜田佳直投手(19)が、359日ぶりに勝った。0-1と1点ビハインドの5回2死三塁で2番手として登板。四球で2死一、三塁としたものの、サブローを三振で仕留め、ピンチを断った。打線の援護もあり、昨年9月18日のロッテ戦以来の今季初勝利をマークした。マジックを「13」に減らした戦列に、生きの良い若武者が加わった。

 選んだのはフォーク。釜田は、思い切って腕を振った。右打者・サブローの外角低め。腕を振った分、低めから、さらに落ちてワンバウンドした。フルカウントからの7球目で、サブローの体をピクリと反応させた。球審の判定はスイング。5回2死一、三塁のピンチを、今季7個目の三振でしのいだ。19歳は涼しげにベンチに戻った。

 1/3回を打者2人。無安打1三振1四球で無失点。わずか11球だが、今季1勝目をゲットした。前日11日に登録され、4月14日の西武戦以来の登板を果たした。前夜の試合後は「緊張しました」と、あどけなく笑っていたが、一夜明けると「今日も緊張しました。自分に勝ちが付いた気はしませんね」と、また笑った。勝利は昨年9月18日のロッテ戦以来、359日ぶり。昨年7勝の右腕が、ようやく待望の勝利を手に入れた。

 4月に不調で2軍に行き、5月の2軍戦で右肘を疲労骨折した。黙々と走りに走る日々を乗り越え、7月にやっとブルペン投球を再開した。1軍のチームが快進撃をする間も「腕を振る」ことを取り戻すことに集中した。フォームも模索する日々で「自信が戻ったのは2週間くらい前でしょうか。実戦を通して、腕を振れると思えるようになった」と本来のボールを得た手応えをつかんだ。

 チーム123試合目の72勝目に、名を刻んだ。「先頭に四球を出したのがダメですね。次、しっかり抑えられるよう頑張ります。チームの雰囲気が、優勝に向かっている、いい雰囲気。1つになれるよう頑張りたい」。昨年とは違う、チームの空気を感じている。チームの熱を、共有する喜びを実感している。大きくうなずいて言った。「この経験は、いい経験になると思います」。今後も糧になる日々が続く。【金子航】