<日本ハム1-2巨人>◇11日◇札幌ドーム

 日本ハム大谷翔平投手(19)が、2戦連続のアクシデント降板で6勝目はならなかった。初の巨人戦登板は7回1死、ロペスへの5球目に右ふくらはぎがつって、マウンドを降りた。自身最速タイの160キロをマークするなど7回途中4安打1失点の好投で、初の規定投球回数に到達も、左足首捻挫の4日広島戦に続き無念の途中降板だった。

 193センチの長身が、バランスを失った。7回1死、大谷は、ロペスに77球目を投じた後よろめいた。右ふくらはぎがつっていた。「これから7、8、9回いけるかなというところだったので、残念でした」。2回に連打で1点は失ったが、4回途中から完全投球。完投も視界にとらえていた。ファンを魅了する快投劇の終幕は突然だった。

 異次元の快投を続けていた。もう160キロは「夢の数字」ではなくなった。1回2死、アンダーソンを真ん中低め、160キロの直球で打ち取った。自己最速タイの大台を2試合連続でたたき出した。敬遠気味に歩かせた2回のロペスをのぞけば、全33球の直球はすべて150キロ以上。159キロも4度計測した。

 直球のキレと比例し、変化球もさえた。「真っすぐに合わせているのはわかっていた」。中盤以降は、110キロ台のカーブも多投。6回には2安打されていた阿部を112キロのカーブで追い込み、最後はスライダーで三振に仕留めた。

 世界最高峰からの熱視線を浴びていた。スタンドには、今季初めてヤンキース・プロスカウトの姿があった。デニス・トゥオンブリー氏。広島前田らの視察も兼ねての来日だが、関係者によれば、大谷の投球をぜひ見たいと希望し、札幌までわざわざ足を運んだという。栗山監督も「攻めようという姿勢がすごく出ていた」と評価。“世界の目”にも、強烈な印象を残したに違いない。

 プロ入り初めて、規定投球回数にも達した。防御率2・95は、パ・リーグ9位でランキングに初登場。「長い回を投げるのは大事なので、そこはよかったです」。二足のわらじを履きながら数字を残していく。右ふくらはぎは経過を見ることになるが、この日逃した6勝目は、すぐ手に入れることだろう。【本間翼】

 ▼大谷が今季の投球回を61回とし、プロ2年目で初めて規定投球回に到達した。大谷は野手で21試合に先発出場。二刀流に挑戦した71年外山(ヤクルト)は途中まで規定投球回に達していたが、最終的には10回2/3不足。シーズンの最終規定投球回をクリアし、野手でも10試合以上先発したのは51年川崎(西鉄)が最後。今年の大谷はどうなるか。