<日本ハム2-4ソフトバンク>◇12日◇札幌ドーム

 ソフトバンク森唯斗投手(22)はプロ初勝利のヒーローインタビューで、いきなりずっこけた。「ナイスバッティングでした」の問いかけに苦笑い。それでも強心臓のルーキーは冷静に続けた。

 「うれしいですね。先輩方が打って、投げてくれて僕まで回ってきたので本当に良かった。思い切ってがむしゃらに投げた。真っすぐの走り、変化球も良かった」

 1点を追う6回から登板。4番中田を1球で遊ゴロに打ち取るなど3者凡退で流れを呼んだ。直後の7回に味方が逆転。23試合目で白星も呼び込んだ。ウイニングボールは両親に。「生んでくれてありがとうと言いたい」。感謝の1勝目だった。

 入団後、地元徳島で漁師を営む父勝美さん(46)に契約金の一部を使って漁船をプレゼント。両親は息子の活躍も願って「唯斗丸」と名付けた。大きさは以前の船より約3倍の3トン弱。今春から伊勢エビ漁獲などで活躍中だ。勝美さんは「スピードが29マイル(時速約47キロ)出る。前の船は12マイル(約19キロ)だったのでだいぶ速い。お金は借りてるだけです」と言うが、森は笑って否定する。

 「返してもらうつもりはないですよ。両親には本当に感謝してるので。船に僕の名前をつけてもらってありがたい。もっと頑張らないといけない」。高校時代まで親の漁を手伝い、腕力やバランスを鍛えた。

 プロ1勝はスタートライン。「これで終わりじゃない。今後も投げる機会があれば気持ちを出していきたい」。好投を積み重ね、さらに両親を喜ばせたい。【大池和幸】

 ◆森唯斗(もり・ゆいと)1992年(平4)1月8日、徳島・海陽町生まれ。浅川小1年から外野手で野球を始め、4年から投手。プロゴルファー尾崎将司も卒業生の海部高(旧海南高)では1年からベンチ入り。2年秋から背番号1。甲子園出場なし。10年に三菱自動車倉敷オーシャンズ入り。昨秋ドラフト2位指名。175センチ、77キロ。右投げ右打ち。