球宴で日本人選手最速となる162キロをマークした日本ハム大谷翔平投手(20)に、「162キロ特別休暇」が与えられる。今日21日から後半戦がスタートするが、栗山英樹監督(53)は疲労を考慮。最初のカードとなるオリックス3連戦(京セラドーム大阪)は、投打ともにスタメンを外れる見込みとなった。まずは疲れを癒やし、次回登板予定の26日楽天戦(コボスタ宮城)へ、万全の状態に戻す。

 全国のファンに衝撃を与えた162キロ右腕・大谷が、“零(ゼロ)刀流”で後半戦開幕を迎える。日本人選手最速をマークした前日19日のオールスター第2戦(甲子園)から一夜明けたこの日、栗山監督は、今日21日からのオリックス戦(京セラドーム大阪)での野手起用について言及。「ここ何試合かは状態を見たい。疲れているのは間違いない」と、休養を与えることを示唆し、投打ともにスタメンを外れる可能性が高まった。

 6・5ゲーム差をつけられている首位オリックスとの直接対決だが、状態の回復を最優先に考える。16日の西武戦から中2日で登板し、162キロを2球マークするなど、目いっぱい腕を振って23球を投げた。今後も見据え、慎重になるのは当然だ。

 チーム事情も大きく影響している。4番中田が左膝などに痛みを抱え、DHで起用せざるを得ない状況。併用するには、大谷が外野の守備に就かなければならない。「登板間の野手出場はDH限定」という二刀流育成ルールの禁を解き、12、13日のソフトバンク戦では「3番左翼」で強行起用した。無理をさせたことに、同監督も「反省している」。やはり負担が大きかったのか、続く16日の先発登板はいまひとつ調子が上がらず、9勝目を挙げたものの5回93球で降板している。次回登板予定の26日楽天戦(コボスタ宮城)に10勝目もかかるだけに、そこまでの間に再びリスクを冒すことは避けたい考えだ。

 この日神戸サブで行われた全体練習は、球宴出場組は免除された。それでも大谷はクロッタとともに大阪市内のジムでトレーニングを行い、自主練習で汗を流した。栗山監督は「メンバーはそろった。勝つために手を打つ。それしかやらない」。故障していた陽岱鋼、稲葉、小谷野、近藤らが復帰しており、大谷は好機での「代打の切り札」としてベンチで待機することになりそう。

 日本人史上最速投手でありながら、バットを持てば一振りで流れを変えるスラッガー。ベンチスタートであっても、存在感はとてつもなく大きい。【本間翼】

 ◆今季の大谷出場メモ

 前半戦の大谷は先発投手で15試合、野手で37試合に出場。登板前の2日間と登板翌日は1度も出場していない。曜日別の登板試合数を出すと、火曜2試合、水曜8試合、木曜1試合、土曜1試合、日曜3試合で、水曜が最も多い。水曜に登板したケースは、6月25日DeNA戦投手→同27~29日楽天戦DH→7月2日西武戦投手と、金~日曜の3連戦は野手で出場。日曜に登板のケースも4月27日ロッテ戦投手→同29日~5月1日西武戦DH→同4日オリックス戦投手と、こちらは火~木曜の3連戦で野手として出場できた。今後、火~日曜の6連戦に投手1試合、野手3試合の出場を考えた場合、登板は水曜か日曜になりそうだ。