<楽天3-7日本ハム>◇27日◇コボスタ宮城

 アブちゃんが快気祝いだ。日本ハム待望の助っ人が、ド派手に節目の1発を放った。中田の3ランで逆転した直後の7回2死。1軍復帰して2戦目のミチェル・アブレイユ内野手(35)が続いた。楽天則本の内角高めに甘く入ったカーブをすくった。左翼席へ今季1号。3月下旬に軽度の腰椎ヘルニアで離脱し、カムバック2戦目でパワー健在をアピールした。3安打猛打賞。「狙っていたわけではないけれど…。中田が打った直後だったからね」と涼しく大仕事を自慢した。

 約3カ月半のリハビリ生活。復活への活力いっぱいの環境で過ごした。米フロリダ州の自宅近郊にある施設を利用。旧知の先輩のベースボール・アカデミーで汗を流した。背筋が伸び、支えになったパートナーが迎え入れてくれた。自分と同じようにキューバから米へ亡命してきた、有望な野球少年たち。一緒にバットを振り、キャッチボール。厳しいエクササイズも励まし合いながら、消化できた。「本当に楽しくできたんだ。心が休まった」。

 帰国時から体重約7キロ減と、絞り込んだ肉体で18日に再来日。太い首回りと、手首にも逆襲への思いを乗せ、戦いの場へとカムバックした。パワーが宿るとされる黄色と青色のビーズでの手作りのネックレスとブレスレット。「どうだい、似合うだろ。フッ、フッ、フッ…」。キューバの親戚たちからプレゼントされた、お気に入りのお守りに再起を誓っていた。遠くカリブ海からの無数の願いにも、応えた。夏反攻の怪力キーマンが、迫力十分に加わった。【高山通史】