<日本ハム1-3ソフトバンク>◇3日◇札幌ドーム

 ソフトバンクが大谷攻略に成功した。2回無死満塁で金子圭輔内野手(29)が155キロを左前にはね返す先制打。骨折離脱した本多の代役二塁が突破口を開き、1死満塁では今宮も156キロを右前適時打にした。「速球狙い」「2ストライク前に勝負」の指示を徹底し、大谷に9安打を浴びせた。連勝で、2位に今季最大2・5ゲーム差をつけた。

 バットが空を切り、金子の細い目がパチクリした。「初球は速すぎて遅れました」。それでも2球目。拳1個分、グリップを短く握って始動を早めると、外角155キロに反応できた。前進守備の三塁近藤の頭上を抜く、先制打。「とにかく前に飛ばそうと。たまたまいいところにいきました」。前日2日に今季初安打が出たばかり。初体験の大谷から値千金の一打。両手が衝撃でビリビリしびれているのは笑顔でごまかした。

 2回に長谷川と明石の連打などで巡ってきた無死満塁のチャンスで応えた。藤井打撃コーチは「基本は真っすぐ狙い。2ストライクからのフォークがいいので、それまでに勝負と指示した。きっちり仕事をしたね」。大谷からの9安打のうち7本が150キロ超、また6本が2ストライク前に打ったもの。この回1死満塁からは今宮も156キロを仕留め、2点目を奪った。

 コーチ会議で秋山監督は「球速は出るが、空振りは取れていない。体感は152、153キロ」とスピード表示に惑わされずにいた。事実、150キロ超の球で空振りは1回の李大浩だけ。その李大浩も161キロをファウルした。藤井コーチは「トレーニングで今後上がってくるだろう」と前置きし、「初速は出るが、今は伸びはそこまでなのかも」と分析。甘めは捕捉可能な上に、球威がプラスに作用する強い打球も多かった。

 前日2日に正二塁手の本多が左手薬指を骨折し、全治6週間の離脱。走攻守を兼備するキーマンに代わり、11年目の金子が1年ぶりの先発で突破口を広げた。開幕から2軍が続き、右人さし指骨折の松田に代わって7月3日に昇格。「自分の体力、技術、気持ち。ファームでずっと準備はしてきたので」。7回も一塁アンツーカーで跳ねるラッキーな右前打と大谷から2安打で、連勝に貢献。層の厚さを見せつけたV候補が2・5ゲーム差とオリックスをジワリと離した。【押谷謙爾】