<阪神2-4ヤクルト>◇8月31日◇甲子園

 勇気を振り絞って戦わなければ、阪神逆転Vへの道は切り開けない。四球、四球、また四球…。最下位ヤクルト相手に、拙攻拙守の敗戦翌日は「逃げ倒して」の連敗。和田豊監督(51)もおかんむりの敗戦で、3カード連続の負け越し。首位巨人との2・5差が変わらなかったのが救いだが、いよいよ決戦の9月に突入する。虎よ、息を吹き返してくれ-。

 誇りが欲しかった。選ばれし者だけが立てるマウンドで、逃げてしまった。荒れ球のルーキー岩貞祐太投手(22)から始まった虎投の四球劇場。強力ツバメ打線は7安打で4得点と効率がいいな…なんて言ってる場合じゃなかった。無条件に塁を与えた四球は計8つ。夏休みラストナイトに、甲子園は重いため息が止まらなかった。

 和田監督

 広い甲子園で、あれだけ逃げ倒してたら…。岩貞は逃げているわけじゃないけど、あれだけ四球出したら話にならん。ベンチからしたら、それが誤算。勝負いって打たれたら仕方ないからね、あそこで。

 「あそこ」とは6回だった。3点ビハインドで、先発左腕に限界が来た。2死二、三塁で送り出したのは、前日8月30日に再昇格した鶴。1番山田にストレートの四球を与えると、ヤクルトは大砲バレンティンを代打に出してきた。どよめくスタンド。初球にボール気味の外角スライダーをファウルされると、そこから痛恨の4連続ボールだ。あっさり4点目を献上した。

 鶴

 勝負するところで、勝負ができなかった。

 中西投手コーチ

 (問題は)2番手以降じゃない。鶴だけや。話にならん。勝負できずに逃げているヤツは話にならん!

 1点目も2点目も、3点目もそうだった。初回は2死三塁からの連続四球後、飯原にカウント3-1から2点適時打を浴びた。4回は1死から四球をきっかけに満塁とされ、山田には1球もストライクが入らずに押し出し。野手のリズムも狂わす四球地獄だった。

 和田監督

 今日の負けを振り返っても仕方ない。前を向いて。向くしかないというか、振り返っても仕方ないんでね。仕切り直して、前を向いて。まだまだ。何度も言うけど、これからこれから。前を向いていきます。

 指揮官は「前を」と言い聞かせていた。2位浮上どころか、快走する広島の背中が遠のいた。もたつく首位巨人は2・5ゲーム差のまま。DeNAの健闘をたたえる間もなく、明日2日からは5・5差に迫ってきたその相手と戦う。辛くも13勝12敗と勝ち越した8月。和田監督が「勝負」と繰り返してきた月が、いよいよ始まる。逃げていては話にならない。思い切りぶつかってこそ、道は開ける。【近間康隆】