阪神和田豊監督(52)が来季も続投することが8日、明らかになった。坂井信也オーナー(66=阪神電鉄会長)が10日に甲子園球場を訪れて正式要請することが判明。1年契約になる見込み。2年連続2位と結果を出し、若手も育てた手腕などを総合的に評価。注目された去就問題に決着をつけ、11日開幕のCSファーストステージ(甲子園)で初の突破を目指す。

 阪神が、来季も和田監督に任せることを決めた。この日、決定権のある坂井オーナーが断を下した。最終的には9年ぶりのリーグ優勝を逃したものの、2年連続で2位になった手腕を高く評価。同オーナーが多忙の合間を縫って、10日に甲子園へ足を運ぶことになった。和田監督は要請を受諾すると思われ、球団創設80周年となる2015年は和田阪神4年目で迎える。

 1カ月以上にわたる去就問題に終止符となる。8月下旬に来季の続投方針が明らかになり、南球団社長も「続投が基本線」と話していた。ところが、勝負どころの9月上旬に6連敗してV争いから脱落。昨年に続く失速で電鉄本社サイドからも不安の声が上がり、1度は「白紙」となった。

 続投へは昨季の順位で、CSの本拠地開催権がある2位を1つの目安に置いていた。一方で非常事態に備え、元監督の岡田彰布氏やOBの金本知憲氏らを軸とした後任候補の選定も行っていた。チームは終盤に持ち直して9月以降は13勝13敗。負ければ3位決定だった1日広島戦に競り勝ち、6日には広島が最終戦で負けて2位になった。

 最低限のハードルを越えても坂井オーナーは最善を求めた。特にここ数日は悩み、1度はCSの結果を踏まえて判断する意向を見せた。ただ、望んでいるのは常勝軍団形成のための長期政権。和田監督は1番に起用した上本や捕手のルーキー梅野ら、勝ちながら若手を我慢強く使った。入団から阪神ひと筋30年目となる、その野球理論にも信頼を寄せる。契約は、勝負への執念を期待して単年になる見込み。球団のメモリアルイヤーへ期待は大きい。

 第2次和田政権へ向けて、まずは組閣へ向けた指揮官の意見を聞くことになる。球団フロントは、テコ入れを図る見通し。11日からは甲子園で広島とのCSファーストステージがスタートする。29年ぶりの日本一へ続く負けられない戦い。その幕開けを前に、グラウンド外の騒ぎを静かにする。虎の総帥が決戦を前に決断した。

 ◆和田豊(わだ・ゆたか)1962年(昭37)9月2日、千葉県生まれ。我孫子-日大。84年ドラフト3位で阪神入団。二塁手で92、94年ベストナイン、92年から3年連続でゴールデングラブ賞。97年に開幕から24試合連続安打。01年に打撃コーチ兼任となり、このシーズン限りで現役引退。通算1713試合、1739安打、打率2割9分1厘、29本塁打、403打点。02年からコーチ専任、11年から監督。右投げ右打ち。174センチ、74キロ。