<2014SUZUKI日米野球:日本代表8-4MLB>◇第2戦◇14日◇東京ドーム

 侍ジャパン金子千尋投手(31=オリックス)がメジャー相手に勝利投手になった。東京ドームに舞台を移した「2014

 SUZUKI

 日米野球」第2戦に先発。ポスティングシステムの利用をにらみながら国内FA宣言して進路が注目される沢村賞右腕は、モーノーに1発を浴びながら5回を3安打3失点にまとめ、毎回の5奪三振と持ち味を発揮した。

 腕試しのマウンドには収穫と反省が詰まっていた。金子はオリックスでも女房役の伊藤と組み、5回まで毎回三振を奪った。4つの空振り三振はすべてチェンジアップが決め球。投げにくいとされる右打者に対しても、効果的に決まった。

 「チェンジアップに関しては空振りが取れていたし、いい感じで投げられた。うまく使えたので、他の球も生きてくれたと思う」

 メジャー球と同じ大会使用球は不慣れで、硬いマウンドも「慣れるのに時間がかかった」と認めた。それでも多彩な変化球から、臨機応変に軸を選べる強みを見せつけた。岩隈との新旧「沢村賞対決」に投げ勝ち、今季マリナーズで15勝の右腕から「(メジャーで)通用すると思いますよ」と太鼓判を押された。

 一方で2回は無死一塁から今季ナ・リーグ首位打者モーノーに2ラン。メジャーの“洗礼”を浴びた。「抑えるというより、ストライクを取りに行ってしまった。あそこに投げたらメジャーなら打たれる」。今季パ・リーグの規定投球回に達した日本人投手で、7被弾は日本ハム大谷と並んで最少。それでもフルカウントから甘く入った148キロのシュートをバックスクリーン右まで軽々と運ばれた。

 3回は左打者ゾブリストの右翼線三塁打から失点。内角の厳しいカットボールを返された。「バッターによってタイプは違うが、パワーがある分だけポイントが近い」。オリックスは現段階で容認していないが、ポスティングシステムでのメジャー移籍を視野に入れる右腕にとって、すべてに意味がある67球だった。

 ネット裏に集まったメジャー球団関係者から注視された。「真剣勝負の場」と位置づけた日米野球で投げた。胸の内にはどんな化学変化が起きたのか。「それは投げている時も、今もそうだが、考える余裕がなかったので」。これから熟考するとしたが、初めて肌で感じたメジャーの香りは、少なからず進路に影響を与えそうだ。【大池和幸】

 ◆金子の球種

 ストレートは150キロを超える。変化球はカーブ、ドロップ(大きなカーブ)、スライダー、カットボール、フォーク、シュート、ツーシーム、チェンジアップと多彩で、シンカーとパワーシンカー(球速が速く変化が小さい)も投げ分けている。