プロ野球独立リーグ、ルートインBCリーグに今季参入する福島ホープスの岩村明憲選手兼任監督(35)がいよいよ動き始めた。3日、福島・伊達市内で選手の合同自主トレを初めて視察。3月15日のキャンプインまで監督が選手を直接指導することは出来ないが、選手の先輩としてユニークな表現で経験談を伝えた。その後、郡山に移動し、参拝、豆まき、ファンとの交流と大忙しだった。

 初の“教え子”を見る岩村監督の目は優しかった。15人が集まった合同自主トレ。体育館の中で行った12分間走では、バテて遅れる選手の尻を笑いながらたたいて激励し、屋外での打撃練習では、少し離れて1人1人のスイングをじっくり見つめた。昨年11月末に監督に就任して以来、選手の動きを見るのは初めて。約2時間の視察を終え、岩村監督は「見られてほっとしました」と喜んだ。

 リーグの規定により岩村監督は、3月15日まで選手に指導することが出来ない。この日は代わりに、雑談のなかで選手にさまざまな“ヒント”と激励を与えた。右打ちの岡下大将内野手(23)から逆方向へ打つコツを求められると「ハエたたきを使うように」と経験談を語る。荒竜司内野手(22)には「内野が試合を引っ張っていく。野球はエラーの後が大事なんだ」と伝えた。「思い切って自分から聞いてみた」という岡下は「(ハエたたきは)感覚的にすごくわかりやすい」と的確な表現に感激していた。選手全員へ「3月まで下半身をいじめぬけ」と注文も忘れなかった。

 選手だけでなく、ファンともぐっと近づいた。午後は郡山市へ移動し、「開成山大神宮」での豆まきに参加。集まった約150人から「岩村~」の声が飛び、終わると小学生から握手を求められた。岩村監督は「期待が直接耳に入ってくる。身が引き締まる思いです」とファンとの初めての交流に心を新たにした。キャンプインまであと1カ月。「つらい練習。そこに打ち勝てるかどうか」と選手に自分に言い聞かせた。【高場泉穂】