<全日本大学選手権:明大7-0富士大>◇14日◇準々決勝◇神宮

 富士大(北東北)は明大(東京6大学)に7回コールド負け。右腕エース多和田真三郎(2年=沖縄・中部商)が12安打7失点でKOされ、打線も無安打に抑え込まれて4年ぶりの4強はならなかった。

 富士大が、なすすべなく散った。明大の3投手の前に無安打。4番山川穂高内野手(4年=沖縄・中部商)の四球が、チーム唯一の出塁だった。打者21人で13三振を喫し、反撃の糸口をつかめない。主将の山川は「勝てる要素がなかった」と実力の差を認めた。

 エース多和田も、踏ん張れなかった。浮きが上がるような直球は影を潜め、5回2/3、7失点(自責7)でKOされた。「ストレートが本調子じゃなかった」。12安打のうち11安打が、シュート回転して甘く入った直球を捉えられたものだった。昨年11月の明治神宮大会でノーヒットノーランを達成。7カ月後、生命線の直球は輝きを失っていた。

 沖縄出身。東北の冬を初めて経験し「オープン戦も多くて走り込みが足りず、下半身の粘りがなかった」と調整に苦戦した。5月中旬には気管支炎を患って3キロも痩せていた。逆転優勝をかけた八戸学院大との3試合は全て先発。今大会は2回戦まで登板せず調整してきたが、蓄積疲労で「右肩の裏に張りはあった」。青木久典監督(40)は「フォームの上と下のバランスがマッチしてない」と不調の原因を分析する。

 そんな中、今春リーグ戦登板ゼロの吉田将太(2年=北海道・鵡川)らが好投し、8強まで進んだのは財産になる。多和田も「本来のストレートを戻して、神宮でリベンジしたい」とこの悔しさを無駄にはしない。【今井恵太】