<社会人野球日本選手権:ホンダ2-1JR東日本東北>◇2日◇2回戦◇京セラドーム大阪

 JR東日本東北(宮城)の加藤正志投手(25=鶴見大)が初戦で散った。楽天からドラフト6位指名を受けた右サブマリンは、延長12回からタイブレーク突入目前の11回裏に、左越えにサヨナラ二塁打を浴びてホンダに涙をのんだ。七十七銀行、日本製紙石巻(ともに宮城)と、東北勢はすべて初戦で姿を消した。

 加藤がマウンドと本塁の間でしばらく動けなかった。延長11回裏1死二塁。「勝負した」という内角高めの速球を、左打者に流し打ちされて左越えに運ばれた。摂津(現ソフトバンク)を擁した07年以来6大会ぶりのJR東日本東北の勝利が、サヨナラで逃げていった。

 右下手投げで、地面スレスレから右腕が出てくる。左右両打者の内角を突く投球が持ち味で、最後は自信の1球だった。「悔いはありません」。少し目を赤らめながらも、加藤はすがすがしかった。

 1-1の8回から2番手で登板した。7月の都市対抗初戦(2回戦)でも5回から救援して延長11回で敗れたが、その11回に降板。3番手にマウンドを譲った。この日は藤井省二監督(52)から「お前に任せた」とマウンドで言われた。「監督から信頼を得た。都市対抗からの成長だと思う」と胸を張った。

 JR東日本東北で約3年間を過ごした。入社当初は最速130キロにも満たなかった。今では「4、5キロアップ」(加藤)して最速132キロ。球威もある。「ものすごく成長できた場所」とチームに感謝した。

 楽天からドラフト6位指名を受けた。藤井監督は「拍手で送り出したかった」と残念そうだが「夏以降は調子が良くなかったのに」と、社会人ラスト登板をねぎらった。「プロは試合が多いので、1年間投げられる体づくりをしていきたい」と加藤。1つ上のステージで、右サブマリンは新たな輝きを放つ。【久野朗】