阪神ドラフト6位の原口文仁捕手(17=帝京)は“口達者”で猛アピールだ。7日、大阪市内で新入団発表会見が行われ、原口は理路整然としたあいさつはもちろん、先輩捕手の名前を挙げながら自らの夢までスラスラ。社会人並みの弁に、真弓明信監督(56)南信男球団社長(55)らもびっくり。阪神の高卒新人では98年1位の藤川が10年後を問われ「胴上げ投手でしょう」と答えて周囲を驚かせたが、まさに球児級のインパクトを残した。

 「おーっ」。言葉には発しなかったが、新入団7人とともに壇上にいた真弓監督、南社長はともに体で驚きを表現した。目を奪われたのは、今回の最年少17歳の原口だった。

 目標とする選手を問われた時のこと。原口は、すかさず「矢野さん、城島さん、狩野さんです」。先輩3捕手を列挙した。阪神の捕手-といえば、このオフの話題は、メジャーから移籍してきた城島。普通の高校生なら、城島の名前だけが出てきても不思議ではない。

 原口の頭脳明晰(めいせき)ぶりはこれで終わらない。続けて「矢野さんはタイガースの正捕手ですし、城島さんはメジャーを経験されている。狩野さんは(自身と)同じ高校から入団していますし、僕も将来は、正捕手として甲子園のホームベースを守りたい」と、それぞれに理由も加えた。

 長年の猛虎の正妻をたて、新加入の大先輩を敬い、今季の投手陣をリードした同じ高卒先輩捕手への敬意も忘れない。頭の回転の早さは、社会経験を長く積んだサラリーマンのよう。よどみない答えっぷりは、大物感たっぷりだった。

 これには、南社長も「びっくりしたよ。頭がいいね」と、会見終了後もただただ感心しきり。しかし、当の原口は「ドキドキはしましたけど、はっきり答えられて良かった」と、涼しい顔で振り返った。

 3月3日生まれの原口は、同じ高卒新人でも、4位秋山の4月26日と比べると、1年近く人生経験が浅い。にもかかわらず、臆(おく)することのない受け答え。かつて98年ドラフト1位で入団した藤川もそうだった。10年後の自分を問われ「たぶん、僕も活躍しているころ。胴上げ投手になっているでしょう」。野球選手になっていなければ?

 と聞かれると「生まれてきていない。名前が球児なんで」と仰天させた。

 その藤川は有言実行とばかりに、絶対的守護神へと成長した。グラウンドよりひと足早く頭脳プレーを発揮した原口も、将来は猛虎の正妻として君臨しているに違いない-。ハートは藤川級。頼もしい限りの17歳ルーキーだ。