スケールがデカい。

 巨人の新入団選手が8日、川崎市のジャイアンツ球場で新人合同自主トレをスタートさせた。注目のドラフト1位・沢村拓一投手(22=中大)は、92キロのがっちりした体と108センチのヒップで、迫力満点の動きを披露。昨年まで1軍ヘッドコーチを務めた伊原春樹編成シニアアドバイザー(61)は「野茂タイプだね」と、日米通算201勝の野茂英雄(元近鉄、ドジャースなど)になぞらえた。

 大きな体がひときわ目立っていた。育成を含めた全ドラフト12戦士の中でも、沢村の体格はいかつかった。70メートル走では92キロの体を揺らしながら激走。約5時間のメニューをこなし、「(昨年)11月、12月に走る体力とかコンディションを調整してきたので、例年に比べていいように思います」と、手応えを感じていた。

 日米通算201勝の野茂をほうふつとさせる存在感だった。伊原編成シニアアドバイザーは、沢村の走りをみて「野茂タイプだね。力強いね~。いかにも馬力がありそう。エースになれるのはそういうタイプだよ」と絶賛し、そのスケールの大きさを表現。西武のコーチ時代、三塁コーチスボックスから近鉄時代の野茂を5年間見続けた名参謀には、その迫力が自然と重なって見えた。

 実際、沢村の尻回りのサイズは108センチで、プロ入り当時に109センチだった野茂に肉薄。胸囲や太ももではやや劣るものの、足のサイズは29センチと28センチで1センチ上回る。斎藤1軍投手コーチも「ぶっといね~。でもそれが投手の命だからね~」と、沢村の下半身に超一流の資質を見いだした。

 4日に母校中大で迎えた新年の始動で沢村は、185キロのスクワットを繰り返すなど、自らの体にムチを入れてきた。これまで上半身には手をつけず、下半身強化に専念。新人合同自主トレを指揮する伊藤2軍トレーニングコーチも「ケツ回りがでかいな~と思いましたね」と、目を丸くした。それでも沢村は「野茂さんみたい?

 そんな大それた投手じゃありません」と謙虚だ。

 スケールの大きさは満点だが、課題も見つかった。キャッチボールを視察した川口投手総合コーチは「投げるときに体が前にたたみすぎる。力んだときに(球が)抜けるなあ」とフォームの修正点を発見。粗削りな部分も露呈した。沢村本人も「やるべきことが多い。まだまだこれから」と先を見据えている。それでも、新人から4年連続最多奪三振、4年連続最多勝の偉業を成し遂げた野茂を思い起こさせるような動きで、存在感をみせつけた。「まずは開幕1軍」を目指す大型右腕が、快調な滑り出しをみせた。【斎藤庸裕】