日本シリーズMVPの西武岸孝之投手(24)が「徹底抗戦」を宣言した。11日の契約更改交渉で希望額と大きな開きがあり、保留。14日、チームメート長田の結婚式に出席した主力選手からは、球団を説得するためのノウハウを伝授された。「納得するまでやればいい」という渡辺監督の後押しも受け、優勝旅行後の24日に2度目の交渉に臨む。

 第1回交渉の提示額は、推定7200万円。今年3600万円からの倍増にも「やっぱり納得できない」が本音だった。ひとつの目安が、昨年の涌井だった。同じように2年連続2ケタ勝利となる17勝(10敗)を挙げ、3500万円から8500万円にアップ。昨季最多勝とはいえ、チームは5位だった。今季の岸はチーム最多12勝(4敗)、日本シリーズでは2勝してMVPを獲得。慣れない緊急リリーフにも対応し、日本一に貢献した自負があるだけに、落胆も激しかった。

 「低評価」に半信半疑な部分もあったが、同調する多くの声に救われた。投手リーダーの西口は「今年の活躍なら8000万はいっていいんじゃないかな」と助け舟を出した。選手会長赤田は「岸がいなかったら日本一になれてない」と交渉法をアドバイスした。結婚式の待ち時間は、今後の参考意見を求める岸を囲んでの対策会議さながらだった。

 査定にあたる前田球団本部長は、金額見直しについて「そういったものも含めて考えます」と話した。球団としては3年続けて活躍すれば、今年の中島や涌井のように大幅アップを確約するシステム。まだ2年目の岸だが「日本シリーズ査定を訴えていきたいと思います」。心強い仲間の声を支えにして、粘り強く交渉していく。【柴田猛夫】