侍の支柱が、さっそうとキャンプ地入りした。パドレス・ダルビッシュ有投手(36)が15日、チャーター機で侍ジャパンの強化合宿(17~27日)が行われる宮崎に降り立った。3月のWBCに臨む日本代表の5人のメジャーリーガーのうち、唯一、合宿初日から参加する。一般の旅客機を使わず、集合日よりも1日早い宮崎入りは、WBCへの意気込みを示すかのようだった。

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午後2時45分。やや強い風が吹く中、東の空から宮崎ブーゲンビリア空港の滑走路へ、小型機が滑り込んだ。荷物に続き、キャップをかぶった長身の男性が降り立った。他でもない、ダルビッシュその人。横付けされたワンボックスカーに乗り込み、専用通路を通って空港を後にした。一般客と接触することもなければ、預け荷物を待つこともない。着陸から、わずか10分ほどのできごとだった。

前日早朝に帰国したばかり。集合日より1日早い。16日は宮崎市内で練習するとみられる。時差ぼけを解消させ、ベストのコンディションで代表合宿に臨む準備の一環。エンゼルス大谷、カブス鈴木ら他のメジャーリーガー4人が所属チームで調整を続ける中、ただ1人、初日から参加する。

パドレスから全幅の信頼を寄せられているからこそ。メジャーリーガーはルール上、3月6日の強化試合からしか出場できない。ダルビッシュは1次ラウンド2戦目、10日の韓国戦先発が有力視される。間隔が取れないため、実戦登板がないまま大会を迎える可能性もある。それでも、ブルペンや実戦形式で仕上げられる。それだけの経験と実績がある。

新たに今季からの6年契約を結んだ後「米国で、パドレスで教えていただいていることを日本の選手たちとシェアできることを楽しみにしています」と言った。機体には「OAS(岡山航空株式会社)」の文字。同社ホームページによると、チャーター料金はフライト1時間あたり52万8000円。体の負担が少ない軽やかな宮崎入りは、WBCへの意気込みを示しているようだった。【古川真弥】